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2022.03.14 11:30

中国企業273社に「米上場廃止」リスク、時価総額1.1兆ドルが危機

Costfoto/Future Publishing via Getty Images

米証券取引委員会(SEC)は3月10日、中国でKFCやタコベル、ピザハット等を運営する「ヤムチャイナ」が、上場廃止の危機に直面していることを発表した。米国では昨年12月に「外国企業説明責任法(The Holding Foreign Companies Accountable Act)」が成立し、米当局は、米国で上場する中国企業に対し、帳簿への全面的なアクセスを要求しているものの、ヤムチャイナはこれに応じていない。

SECはヤムチャイナ以外にも、半導体洗浄ツールのACM Researchや、バイオ医薬品のザイ・ラボ、BeiGene、HutchMedなどを上場廃止リスクがある273社のリストに加えている。

これらの企業は、今後も公開会社会計監視委員会(PCAOB)に必要なアクセスを提供しなかった場合、2024年までに米国で強制的に上場廃止となり、合計で1兆1000億ドルの時価総額が失われることになる。

SECの発表を受けて、米国に上場している中国株は大幅に下落し、Nasdaq Golden Dragon China Indexは10日に10%急落し、2008年以来で最大の下げ幅を記録した。ヤムチャイナの株価は、ニューヨーク市場で11%下落した。

モーニングスターのイワン・スーは、「今後数週間のうちに、より多くの中国のADR(米国預託証券)が暫定リストに含まれると予想される」と述べており、米上場の200社以上の中国企業がいずれ上場廃止になるとの見方もある。

中国証券監督管理委員会(CSRC)は、「証券規制の政治化に反対する」としながらも、米規制当局と意思疎通を続ける意向を表明した。

問題の核心は、中国政府が長年、監査書類を国家機密とみなし、企業が米国の規制当局に帳簿を渡すと、国家の安全保障を危険にさらす可能性があると考えていることにある。

SECのゲンスラー委員長は、企業が米国で証券を発行するならば、その帳簿は査察の対象にならなければならないと指摘し、これまで50以上の国や地域がPCAOBの検査に協力したが、中国と香港はこれに反発していると述べた。
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編集=上田裕資

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