専門家たちの間からは、そうした意見が聞かれ始めている。英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)によると、ロシア軍が保有する陸上兵力は、およそ28万人。軍全体では約90万人であるのに対し、ウクライナ軍の兵力は、合わせて約21万人だ(予備役と採用したばかりの新兵を含む)。
また、ロシアの予備役は約200万人とされているが(一部はすでにウクライナに派遣されている)、米国のシンクタンク、戦争研究所(ISW)は、戦闘部隊に入る準備ができている兵士は「ほとんどいない」と指摘している。
ロシアは兵士を徴集することもできる。政府は先ごろ、国内の法律に反し、徴集兵をウクライナでの戦闘に参加させていたことを認めたばかりだ。だが、米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のシニアフェロー、フレデリック・ケイガンはフォーブスに対し、次のように述べている。
「すぐにウクライナに展開させるために訓練を受けさせても、間に合わないだろう。十分な訓練を受けていない兵士を送り込んでも、“砲弾の餌食”にしかならない」
また、米シンクタンク、海軍分析センターの上級研究員ドミトリー・ゴーレンバーグもフォーブスの取材に対し、「ロシアはウクライナの各都市を制圧するのに十分な兵力を持っているかもしれない。だが、それらを占領下に置いておくだけの十分な兵力はない」と話している。
それは、ロシア国内で起きている抗議デモを抑制するためにも、兵力が必要になってきているためだという。
ロシアはウクライナの都市を攻略するため、“市街戦に長けた”シリア人兵士を募集していると報じられている。ロシア連邦政府に属する親衛隊「ロスグバルディア(ロシア連邦国家親衛隊)」や、南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長が率いる部隊も、ウクライナに派遣されているという。