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2022.03.14 13:00

スポーツカーの創造という哲学が、未来への歩みを進める力に──Ferrari


そう語るマンツォーニ氏にとって、では、フェラーリとはいったいなんなのだろう。

「フェラーリは常にとび抜けた存在であり続けます。フェラーリのデザイナーの仕事は、採用される最新技術を審美性の高いデザインで表現しつつ、(衝突安全性などの)制約もまた、美しいかたちのなかに落とし込むことなのです」

80年代までフェラーリは、カロッツェリア(車体製作会社)にデザインを依頼し、歴史に残るモデルを数々生み出した。しかし以降は、空力をはじめ、複雑な技術的要件が増えたため、社内デザイナーの重要性が増した。デザイン部門をひきいるマンツォーニ氏は、つまり、フェラーリのすべてを理解している人でもある。

「さらに今後は、フェラーリも電動化を進めていきます。現在3つのプラグインハイブリッドモデルをもち、25年には初めてのピュアEVモデルも予定しています。エンジニアを含めて私たちのすべてを注ぎ込んだEVモデルは、フェラーリの歴史における大きなエポックになるでしょう」

ある時点まで、フェラーリは、大排気量のマルチシリンダーエンジンによるスポーティな走りにこだわり、電動化はまだまだ先の話だろうと思われたものだ。それが現在、「SF90ストラダーレ」(発表2019年)「同スパイダー」(同20年)そして日本では2021年10月にお披露目された「296GTB」と、プラグインハイブリッドモデルが3車種もラインナップされるまでになっている。

フェラーリが発表するニューモデルは、いつも斬新で、フェラーリの固定観念、ひいてはスポーツカーの固定観念をくつがえすようデザインばかりだ。その理由として、フェラーリは自分たちがスポーツカーを創造していると自負しているから、変わっていくことをおそれない、といわれたものだ。自信がないと、旧来のスタイルに固執するが、フェラーリは自分たちこそがスポーツカーだと考えているので自由なのだと。デイトナSP3然り、プラグインハイブリッド然り。未来へと大胆に歩を進めている。


Flavio Manzoni◎2010年からフェラーリのデザインセンターを率いる、イタリア人のフラビオ・マンツォーニ。以前はランチアをはじめとするフィアットグループと、フォルクスワーゲンなどで活躍。大学では建築を学び、趣味でピアノ演奏をたしなむ。

edit by Tsuzumi Aoyama

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