話題のEV兄弟対決、トヨタbZ4Xとスバル・ソルテラはこんなに違う

トヨタbz4X(左)スバル・ソルテラ(右)


室内を比較してみると、デザインは基本的に同じで、2台とも運転席から引っ込んでいるトップマウントのメーターと、フローティングなセンターコンソール内の大型タッチスクリーンが特徴。スバルのエントリーレベル仕様のシートはグレー色のファブリック性になっているのに対して、トヨタは黒いステッチ入りのクリーム色のシートやトリムになっている。

スバルの上級グレードだと、なんと高そうなタン色のシートは開放感があって気持ちよかった。この内装の色は女性には特に人気があるらしい。

運転席の写真

また、センターコンソールのスイッチ類をチェックすると、「X-MODE」のボタンが両車の4WD仕様についていることに関心した。bZ4Xにもスバルの4WD技術が搭載されていることになる。さらには、ソルテラの上級グレードだと、11スピーカーつきハーモンカードン製オーディオがオファーされている。これは15年前以上のスバルB4についていたマッキントッシュ製以来の素晴らしい音質を誇るサウンドシステムなので、注目されるべきだろう。

2台に共通なのは、後部席。リアシートに回ると、フロアの高さに驚く。やはり、SUVとは言っても、大きなバッテリーパックとモーターを床下に積んでいるわけなので、座面高が足りていないため、ある程度以上の身長の人はひざが浮いたまま座ることになる。

さて、走りはどうだろう。bZ4XとソルテラはFFと4WDの2種類が用意されている。最高出力109PSの駆動用モーターを前後軸にそれぞれ備えた4WDモデルということで、システム最高出力218PS。モーターを1基だけ搭載する最高出力150kWのFWDモデルもある。

駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は71.4kWhで、出力204psまでの急速充電に対応。最大航続可能距離はFF車が530km前後、4WD車が460km前後となるとメーカーはいう。でも、リアルワールドでは、550-560kmと380-90kmぐらいだろうか。200Vなどの家庭充電がベースなので、急速充電には対応していないのが残念。

ソルテラのエンジンルーム
ソルテラの前部モーター部。

バッテリーシステムは今回、とても賢い。バッテリーの劣化という問題に対して、バッテリー管理にできることは全部やっている。バッテリーは水冷式ということで、バッテリー周りに水の冷却経路が張り巡らされているし、温水にもできるので、−30度の真冬でも気楽に走れる仕組みになっている。

ちなみに、この2台とも乗り心地はしなやかだし、重いSUVにしてはステアリングがピンポイントなので、ハンドリングは確実に快適だ。やはり、タイヤはブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザックDM-V3」なので、グリップ力はとんでもなく高い。

もちろん、この2台の電気パワートレーンやサスペンションはほぼ一緒なので、加速性やハンドリングはそれほど変わりはない。一番の違いは、ソルテラは、bZ4Xには装着されていないパドルシフトのレバーで回生力を調整してやると回生ブレーキが良く効くので荷重移動がしやすくなること。パドルは回生力調整は4段階で、3はデフォルトになっている。4にスイッチすると、コースティング(流し運転)ができて、2と1にすると回生が強くなる。

さらにセンターコンソールについている「Sペダル」のスイッチを押すと、もっと強い回生が実現できる。このSペダルは両車についているけど、トヨタはオンとオフのみ。スバルの場合は、そのオンとオフの他にも、別に4段階のパドルの回生力がいじれるので、運転すること自体が楽しくなる。その回生ブレーキの度合いが微妙に変えられるので、運転好きならたまらないだろう。

最後の比較は、売り方。トヨタbZ4Xはキントということで、実際販売されるのではなく、リースされる。しかし、スバルはリースか販売か、未発表だ。ということで価格も未発表。それは置いておくことにして、どっちがいいかというと、僕は、タン色のシート、ハーモンカードンのオーディオ、そして回生ブレーキのパドル付きのスバル・ソルテラが買いかなと思う。

文=ピーター ライオン

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