米国で利用増のリコマース市場、小売企業はどう対応すべきか

Photo by Gpointstudio / Getty Images


まず必要なのは、消費者の意見に耳を傾け、彼らの買い物傾向を把握することだ。サステナブルな買い物の方法には、ブランドや小売店が運営するリコマース、レンタル、サブスクリプションボックス、個人間で売買できるマーケットプレイスなど各種あるが、ファースト・インサイトのデータでは、全世代を通じた消費者の65%が、ブランドや小売店が運営するリコマースを好むことが明らかになった。

ブランドや小売店が運営するリコマース・サービスに、難しい問題はないように見える。ライフスタイル分野でのリコマースでは、アウトドア用品のパタゴニアとジーンズブランドのリーバイスが他に先駆けている。ところが、ラグジュアリーブランドのハンドバックやアパレル、宝石、時計は、リセールバリューが莫大であるにもかかわらず、大手企業の大半はリコマースにまだ手を出していない。

一方、グッチやバレンシアガ、ボッテガ・ヴェネタなどの有名ブランドを傘下に持つ仏大手ファッション企業体ケリングは2021年、ラグジュアリーブランド商品のリセールプラットフォーム「ベスティエール コレクティブ」の株式5%を取得したと発表した。

ケリングの会長でCEOのフランソワ・アンリ・ピノーは、「ヴォーグ・ビジネス」に対してこう語っている。「中古のラグジュアリーは、実際に存在する、深く根付いたトレンドであり、若い消費者のあいだでは特に顕著だ。この流れを無視するよりも、逆に好機だととらえたい。当社の願いは、顧客に提供する価値を高め、この業界における未来のイノベーションと、サステナブルな習慣への動きを方向づけることだ」

ブランドが運営するリコマースに参入したケリングが、他のラグジュアリー業界大手と比べて成果をあげるのは間違いないだろう。1990年代に、レクサスやメルセデス・ベンツなどの高級自動車ブランドが中古車市場を改革し、自動車市場が進化を遂げた例を考えてみてほしい。

それらの自動車メーカーは、自社が製造した車の価値を第三者が決定することを許していたわけだが、この状態によって、利益をいかに取りこぼしているのかに気がついた。高級自動車業界は、「中古車」を「保証付き認定中古車(certified pre-owned vehicles)」にリブランドさせた。言ってみれば、自社が持つ知的財産とバリューを取り戻し、新しいオーディエンスに向けて魅力的なかたちで提供したわけだ。

小売業界と、とりわけブランドは、こうした先例を、業界の未来を変えられる道筋のひとつの例として学ぶことができる。そうした道筋は、ビジネス的にうまく行くだけでなく、「サステナブルな収益源」の柱となりうる可能性があるのだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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