ビジネス

2022.03.14 07:00

米最大級の貨物鉄道「ユニオン・パシフィック」のEV化への挑戦


推定4億6000万円の電動機関車


鉄道を水素燃料に切り替えるためには、ディーゼルに使っているものよりも複雑な貯蔵設備と燃料補給設備が必要で、現時点では十分な準備ができないという。「私たちは、水素について何が起こっているのかに注目しているが、まだ早いと考えている」とホワイテッドは述べている。

他の鉄道会社も、ワブテックの電動機関車の性能を確かめようとしている。ピッツバーグに拠点を置くワブテックは、「カナディアン・ナショナル」社やオーストラリアの鉱山会社の「リオ・ティント」社向けに、最大8メガワット時のバッテリーパックを搭載したより強力な電動機関車を準備している。

このような「ユーティリティ・スケール」のバッテリーは、大型トラックには重すぎるが、貨物列車であれば、ディーゼル機関車と組み合わせることで、燃料を節約し、排出ガスを削減することが可能だ。ワブテックは昨年、カリフォルニア州で行ったパイロットプロジェクトで、2.4メガワット時のパックを使用し、燃料使用量を11%削減した。

高出力バッテリーを搭載した電動列車は燃料を節約すると同時に、巨大な回生ブレーキシステムを利用して走行中に充電を行うことが可能という。

ワブテック社は、昨年のカリフォルニアでの最初のテストの後に、18台のバッテリー式機関車の受注を獲得した。同社は、価格を明らかにしていないが、ユニオン・パシフィックの開示資料から、2.5メガワット時の電動機関車1台は400万ドル(約4億6000万円)程度と推定できる。

「オーストラリアの鉱山会社も当社の電動機関車を購入しており、カナディアン・ナショナルとの取り組みも進んでいる。当社は2021年の初めに最初のユニットを走らせ、その年の中頃までに結果を出すことに成功した。早くも注文が入り始めていることに、興奮している」とワブテックの担当者は述べている。

同社はまだ、最初の18台のバッテリー駆動の機関車を納入する準備を進めているところだが、電気機関車の未来は明るいと考えている。

「現時点では、納入台数についてのコメントは控えるが、今後の数年間の成長に期待している」と、ワブテックのCTOのEric Gebhardは述べた。

編集=上田裕資

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