ほかにも現在取組んでいることとして、「été」のケーキを入れるボックスに、オートクチュールな方法で誂えた京都の蒔絵の漆箱の使用を開始した。箱を使い捨てるという発想から繰り返し使うものとして定着させていきたいのだという。
「昔ながらのお重のように、店にお重を持ってきて、お節料理を詰めてもらうような、そんな風に繰り返し使うものにできたらいいとな」と庄司氏。もちろん紙のボックスには再生紙を使い、セレクトできるようにしたうえでのことだ。
これには、あたりまえのように“使い捨てる”習慣に警鐘を鳴らすとともに、伝統工芸の職人の技をつないでいくことの力になれればという意味も込められている。職人の仕事は、その昔から、パトロンである発注者が支えてきたように、発注先がなければ途絶えてしまう。そこを、微々たる力ではあってもつないでいきたいというのが、庄司氏の考えである。
ゼロウェイスト、教育、文化の継承、どれもがSDGsの17のゴールの中でも欠かせない大切なことだ。たとえ女性でも、などという常套句は省きたい、一人の料理人が、社会へ働きかけられることの力の大きさに、あらためて、共感させられる。
連載:シェフが繋ぐ食の未来
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