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2022.03.19 11:30

ラグジュアリーな食の責任をとる。母校と組んだ庄司夏子の覚悟


「私たちの仕事であるラグジュアリービジネスって、地球が健康な地球であるためには有用な働きをしているわけではないじゃないですか。もちろん、文化を残すという側面はありますが。

ディズニーランドというエンターテインメントに特化した企業が、アミューズメントの中で出したゴミを回収し、再生エネルギーにしているのはさすがだと思ったんですね。楽しみや夢を作り出すための行動に責任を持つ。私たちも同じですよね。ラグジュアリーな食の責任は自分でとらなければと思いました」

「学校」にこだわる理由


そうしてゼロウェイストの規模を広げ、母校とタッグを組むことを考えついた。調理師学校では実技を通して、また学食からも膨大な生ゴミが出る。これを、コンポストすることができれば、かなりの量として、地球に貢献でききることになる。早速、学校に話を持ち掛けた。

ところが、学校は必要性や意義をなかなかわかってくれなかった。学校法人という非営利団体ゆえ、動きが遅いのはもちろん、環境問題に対する意識も高くはなかった。その中で粘り強く交渉を続け、必死で説得した。単にコンポストを導入するのではなく、組織として、このプロジェクトに意義を見出して「イエス」といってもらえなければ意味がないからだ。

忙しいなか、なんどもなんども足を運んた。アジアベストパティシエを取得している庄司氏は、学校にとっては、重要な講師。それを武器に交渉を続け、最終的に首を縦にふらせるまでには、2年以上の月日を要した。そして2月、ようやく、未来を変えることができる母校とのプロジェクトがスタートした。



なぜ、そこまで、学校という組織にこだわったかという点においては、何より、次世代へ伝えたいという熱意が源になっている。

料理人はもちろん、料理関係者やメディアがSGDsについて知っていたり、意識を高くもっているのももはやあたりまえ。問題は、生徒たちも含めて、まったく知らない人たちや次の世代に理解させること。そうした人々にどのようにしてメッセージを伝えていくかを考えた結果、庄司氏は自らの知名度を上げるという方法を選んだ。

「一人、厨房にこもって修業に励むということももちろん大切ですが、それでは何も伝わらない。発信力、訴求力を上げることこそ、我々プロができること、考えるべきことだと思います。

私は、ケーキを通して、村上隆さんらアーティストとコラボしたり、ファッション業界に支持を得ることで認知度を上げてきました。だから生徒たちも私のことを知ってくれている。それで初めて、聞く耳を持ってくれる。若い世代に向けて、サステナブルはトレンドではなく、これからのスタンダードだと伝えることができるのです」
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文=小松宏子

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