そう話すのは、日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network」を開発するステイクテクノロジーズ(Stake Technologies)のCEO、渡辺創太、26歳だ。
2021年12月、Astar Networkは「Web3」という言葉を提唱してきたギャビン・ウッドが創業したポルカドット(Polkadot)のパラチェーンとなり、大きな一歩を踏み出した。ポルカドットとは、Web3の実現のために異なるブロックチェーンをつなぎ合わせて相互運用を目指すプロジェクトだ。
そして2022年1月には、Astar Networkのトークン「ASTR」が、Huobi GlobalやGate.io、OKXなどの暗号資産(仮想通貨)取引所に上場。2月末にはBinanceにも上場した。時価総額は約1000億円となった。
さらにアメリカの暗号資産トップファンドであるPolychainをリード投資家に、Crypto.com Capital、Alameda Research、Alchemy Ventures、Coinbase、ギャビン・ウッド、プロサッカー選手の本田圭佑などから2200万ドル(約25億円)の資金調達を実施した。
2000年代半ばにティム・オライリーが提唱したWeb2では、長らくGAFAに代表される中央集権的なプラットフォーマーたちがデータの所有権を「独占」してきた。Web3は、それらのデータの所有権を個人に「分散化」させるため、単一組織が操作できない「次世代のWeb」と呼ばれている。
ステイクテクノロジーズは、それを一般化するため、Astar Networkというプラットフォーム上にDapps(ブロックチェーンに載せて動くアプリケーション)の数を増やし、別々のブロックチェーン同士をつなげるインターオペラビリティ(相互運用性)に取り組んでいる。
そんな前代未聞の事業に挑む渡辺に、事業に込める思いや資金調達の裏側を聞いた。
──起業をしようと思ったきっかけは。
僕は大学時代、様々な国でボランティア活動をしていたのですが、インドに行ったとき、道を歩くとそこに貧困がある状況を目の当たりにしました。海外で見た貧富の差や環境問題など、地球規模の課題に目が向くようになり、それらを解決したいと思うようになりました。
そのためには、世界でインパクトを与えられる人にならなければいけません。この先の10年で、イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグのような起業家たちに勝てる技術はなにか、と考えたときに、ブロックチェーンに行き着いたんです。