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2022.03.10

独占から分散へ。「Web3」の実現を目指す26歳 渡辺創太の原動力


──1月にAstar Networkは2200万ドル(約25億円)を調達したことを発表しました。世界中から評価や期待を受けていますね。

2021年まで中国のトップファンドであるバイナンスや、OKX、Huobi、ハッシュキーなどからはバックアップをもらっていました。今回はアメリカのトッププレーヤーたちを抑えにいった形です。

リードしてくれたPolychainは、アメリカを代表するトップクリプトファンドの1つで、我々のプロダクトのグロースと相互運用性などの取り組みを高く評価してくれました。

実はPolychainとは1年以上前からピッチを重ねており、2回断られています。3回目の今回は、我々の開発スピードや成長速度を見て2日で決まりました。その意思決定の速さは我々の成長スピードそのもので、それぐらい急速に物事が決まっています。

Polychainのメンバーやギャビン・ウッド氏とは出会って3年になるのですが、この業界では、どのようなことをして、どのような人物に会ってきたかは重要だと感じました。

本田圭祐さんもですが、最後は僕の「人となり」を信頼してもらっている部分がかなり大きいと思っています。

──これらの資金の使い道は、どのように考えていますか。

ここからが本当のスタートなので、生きるか死ぬかの勝負をすることを決めています。

Web2ではGAFAに代表されるようにデータが「独占」された中央集権でしたが、Web3では「分散化」が肝になります。世界の第一線で使われるプロジェクトにするため、分散化を促進する資金の使い方をしていきます。

我々のゴールは、Astar Networkを大きく発展させ、ステイクテクノロジーズは解散させること。会社組織が存在しなくても動き続けるDAO(自立分散組織)というモデルでWeb3の実現を目指しています。

例えば、MetaがなくなったらFacebookは使えなくなりますが、Astar Networkはステイクテクノロジーズ解散後も、意思決定機能が会社からコミュニティに譲渡されて発展を続けます。ですので、僕はステイクテクノロジーズのCEOからAstar Networkの創業者、そして一人のオープンソースコントリビューターというコミュニティと対等な立場になっていくのが理想です。

これは技術的にも思想的にも大きな挑戦であり、ブロックチェーンだからこそできるWeb3スタートアップの新しいイグジットモデル。これから挑戦する人のためにも、このインセンティブを築き上げていきたいです。
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文=西崎圭一 取材・編集=田中友梨

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