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2022.03.09 11:00

ロシア産原油停止でEVトラックの「ニコラ」が株価急騰、14%高

(c) Nikola

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バイデン大統領は3月8日、ロシア産の原油や天然ガス、石炭の輸入を禁止すると表明した。これを受け、水素燃料電池で駆動する車両でトラック業界に変革を起こそうとしているEV(電気自動車)メーカー「ニコラ(Nikola)」は、当日の株式市場で最も株価を上昇させた企業の1社となった。

フェニックスに本社を置くニコラの株価は、8日のナスダック市場で約14%上昇して7.55ドルをつけた。同社に水素ステーション関連機器を納入するノルウェーのネル(Nel)の株価も17%急騰した。燃料電池メーカーのバラード・パワー・システムズの株価も約14%上昇した。

トラックメーカー向けに水素駆動システムを開発するカミンズの株価も1.8%上昇。時価総額で世界トップの自動車メーカーであるテスラの株価も2.5%上昇し、フィスカーやルーシッドなどの新興EVメーカーの株価も値上がりした。

カウエンのアナリストのジェフリー・オズボーンは、原油価格の高騰を背景に、投資家は再生可能エネルギー関連銘柄に幅広くシフトしていると語った。「ディーゼル燃料の価格が上昇し、再生可能エネルギーに注目が集まれば、水素への扉が大きく開かれる」とオズボーンはフォーブスに語った。

ニコラが水素燃料トラックの「トレ(Tre)」の量産を開始するのは2023年のため、現時点での同社への賭けは長期的な投資となる。同社は今年2月に、1回の水素補給で500マイル以上を走行可能な2台のプロトタイプで、アンハイザー・ブッシュ社のビールの輸送を開始したが、水素の供給はまだ不足している。同社やカミンズらは、水素の生産を拡大する計画を発表したが、規模の拡大には1年以上がかかるとみられている。

バイデン大統領の禁輸措置発表を受けて、北海ブレント原油先物は約5.8%上昇した。全米自動車協会(AAA)によると、米国のレギュラーガソリン1ガロンの平均価格は約11セント上昇して4.173ドルをつけており、カリフォルニア州では平均5.44ドルに高騰している。

ウェドブッシュ証券のダン・アイブズは、ニコラやEVメーカーの株価の上昇は、「ガソリンの値上がりを背景にしているが、この状況下でEVの需要が加速するのは明らかだ」と述べた。「水素関連のプレーヤーにとって、この地政学的な状況は有利に働く」とアイブズは指摘した。

一方で、EVメーカーの株価は今年に入り急落しており、7日時点でテスラの株価は年初から33%の下落、ニコラも35%の下落となっていた。アイブズは「これらの銘柄は売られすぎており、投資家は大規模な暴落の後にバーゲン価格で買い求めている」と指摘した。

編集=上田裕資

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