イングランドのコロナ規制撤廃、専門家からは時期尚早と懸念の声

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イングランドでは現在、症状の有無を問わず、誰もが迅速検査を無料で受けられる。しかし4月1日からは、「リスクのある」人だけが無料検査の対象となる。

政府は、納税者にとって、無料検査の有用性はもはや不明確だと言明した。英国では、「Test and Trace(検査・追跡)」プログラムに多額のコストがかかっており、2021年から2022年の1年間に157億ポンド(約2兆3800億円)が投入された。しかしその権限は、「家庭向け無料検査の提供」をはるかに超えた範囲に広がっている。

英国医師会によると、政府の新方針は「二重構造」を生むリスクがある。検査を受ける金銭的余裕のない人は、「自分自身と周囲の人たちの健康を、運を天にまかせて危険にさらす」ことになるのだ。

英国医師会が発表した声明で、会長のチャーンド・ナグポール(Chaand Nagpaul)は、この新方針では、病気にかかりやすい人たちを新型コロナウイルスの感染から守ることができないだろうと述べた。「いったん症状が出たら重症化する可能性の高い、病気になりやすい人々には無料検査を提供する一方で、彼らと接触する友人や家族には無料検査を提供しないのは、まったく筋が通らない。優先すべきは、まずは彼らを感染から守ることだ」

ナグポールはさらに、感染者数が依然として多いことから、無料検査と他の感染症予防措置を終了するのは時期尚早だと述べた。

「感染者数、死者数、重症者数がいまだに極めて多い状態でありながら、感染予防措置をすべて前倒しで撤廃すると判断するのは性急すぎる」とナグポールは言う。「コロナとの共生が、このウイルス自体を完全に無視するという意味であってはならない。しかし多くの点で、政府のイングランドにおける新方針はまさにそのとおりのようだ」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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