イングランド(全部で4つある英国の構成カントリーのひとつ)では、検査で陽性となった場合の自主隔離は引き続き推奨されているが、法的義務は2022年2月24日に撤廃された。
また、定期的な接触者追跡も終了したほか、全市民に提供されている無料の迅速検査も、4月1日からは取りやめとなる。
英国政府は、オミクロン株に感染しても重症化しにくいことに加え、国民の免疫が高い水準に達したことを挙げ、規制の撤廃は正しい判断だと述べた。
とはいえ、規制撤廃をめぐっては大きな議論が巻き起こっており、医療機関への影響、とりわけ、病気にかかりやすい人たちへの影響を懸念する声が専門家からあがっている。
NHS上層部は政府に対して、新方針の正当性を示すエビデンスを公表するよう要求している。
NHS基金を代表するNHSプロバイダーズの会長クリス・ホプソン(Chris Hopson)は2022年2月21日、「こうした判断の指針となるべき科学的なアドバイスや情報、データなどのすべてにアクセスできるのは政府だけだ」と述べた。
「これら一連の判断の重大性を踏まえると、指針となったそれらの情報やデータを、できるだけ速やかに公表することが重要だ」
ホプソンはさらに、「いざというとき」には、現行の検査体制と監視体制を再開する必要があると、政府は肝に銘じておくことが「不可欠」だと述べた。
イングランドの北隣りであるスコットランドでは、スコットランド自治政府の保健相フムザ・ユーサフ(Humza Yousaf)が、公衆衛生に関して受けたアドバイスでは、自主隔離と無料検査は「重要な介入手段」であり、それを取りやめることは推奨されなかったと述べた。
イングランドでとりわけ議論を呼んでいるのが、無料の大規模迅速検査を終了する件だ。NHSプロバイダーズのホプソンは、「健康格差を大幅に悪化させる」おそれがあると主張している。