経済・社会

2022.03.09 16:30

ロシア向けサービスを止めない「防弾ホスティング」Cloudflareの主張

rafapress / Shutterstock.com

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時価総額300億ドルを誇る「防弾ホスティング」企業のクラウドフレア(Cloudflare)は、ウクライナ政府からの停止要請を受けた後も、ロシアへのサービス提供を継続している。

ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相は先日、ハッカーのDDoS攻撃からサイトを保護するサービスを提供するクラウドフレアに、ロシア向けのサービスの全面停止を求めていた。

フェドロフ副首相はウクライナのIT軍を主導し、ロシアの複数のターゲットにDDoS攻撃を仕掛けている。

「私は、あなたの会社が血まみれの侵略からウクライナや民主主義社会を守るために、可能な限りのことをしてくれると確信している」と、副首相はクラウドフレアのマシュー・プリンスCEOに呼びかけた。

しかし、プリンスは3月7日のブログで、クラウドフレアがその要求に応じないと述べた。彼は、専門家との議論を重ねた結果、「ロシア人にはより多くのインターネットへのアクセスが必要だ」という結論に達したという。

「紛争が続く中、我々はロシアのネットワークから世界中のメディアへのリクエストが劇的に増えていることを確認した。一般のロシア国民は、国営メデイア以外のニュースへのアクセスを求めている」とプリンスは述べた。

彼はさらに、ロシア向けのサービスの全面停止は、クラウドフレアのツールを盾にして攻撃から身を守る反政府活動家たちを危険にさらすと主張している。

一方で同社は、ロシアの金融機関やロシア政府のキャンペーンなどの「制裁対象の顧客」へのサービスを遮断したとプリンスは述べている。クラウドフレアはまた、ロシアのハッカーの攻撃対象になり得る米国企業向けの無料サービスを発表した。

サイバーセキュリティ研究者のクリス・パートリッジは、ウクライナ政府のIT軍のDDoS攻撃について、「私が追跡しているサイトのほとんどが、少なくとも一時的に機能を停止しており、サイトの運営者にコストを課しているという意味で、決定的な成功だ」とフォーブスに語った。

「しかし、ウクライナ政府の攻撃が十分な効果を発揮していないエリアもある。クラウドフレアを使用している暗号通貨関連のサイトは、今もほぼ完全に稼働している」とパートリッジは付け加えた。

クラウドフレアは、物議を醸すサイトにサービスを提供することで、しばしば批判を浴びているが(編集部注:日本の出版大手4社は、海賊版サイト問題で同社を提訴した)、2017年にはシャーロッツビルの抗議活動中に死亡した女性を嘲笑したネオナチサイトのDaily Stormerへのサービスを停止していた。さらに、2019年には、極右コミュニティに人気のフォーラムの8chanへのサービス提供を停止していた。

翻訳=上田裕資

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