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2022.03.08 12:00

「原油高はEVに追い風」、逆張り鮮明キャシー・ウッドの主張

Getty Images

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テクノロジー分野への強気の投資で知られるキャッシー・ウッドは3月7日、アブダビで開催された「フォーブス30/50サミット」で、パッシブ投資を厳しく批判し、テスラやズームなどの彼女のファンドの保有銘柄が低迷を続けるなか、「破壊的イノベーション」銘柄への投資を呼びかけた。

アーク・インベストの創設者でCEOのウッドは7日、ETFやインデックスファンドとの連動を目指すパッシブ投資へのシフトを「後ろ向き」と批判し、恐怖に怯える投資家たちが「インデックスを真似る愚かな態度」に陥っていると主張した。

「これは人類史上最も大規模な資本の誤配分だと思う」とウッドはフォーブスに語り、破壊的テクノロジーに投資するという同社の姿勢が、市場の不確実性の中で、これまで以上に重要になったと主張した。

彼女は今もなお、破壊的イノベーションに「爆発的な成長の機会」が広がっていることを強調した。しかし、インフレやロシアによるウクライナ侵攻、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに対する懸念から、リスク回避志向の投資家たちはベンチマークへの投資に向かっている。

ウッドの旗艦ファンドの「アーク・イノベーション」は2020年に150%近く急騰したが、その後パフォーマンスは低下し、昨年は24%下落し、2022年もこれまでに37%下落している。

しかし、アーク・インベストを率いるウッドは、逆風の中で次のように述べている。「長いスパンでイノベーションに後ろ向きな態度をとることは、負けを意味する。批評家たちの直感的な反応は、我々が正しいことを示している」

ウッドは、テクノロジー関連の株価を大きく押し上げた2020年のパンデミックの初期段階と、現在の市場環境が似た状況にあると話した。「今はまた、そこに戻ってきたと感じている。現在の市場はウクライナ危機でさらに多くの問題を抱えている」と彼女は語った。

「イノベーションは問題を解決する。我々は今、さらに多くの問題を抱えている」とウッドは述べている。

ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー価格が高騰しており、ウッドはこれが「巨大な供給ショック」となり「消費者の購買力に大きな打撃を与える」と述べている。「景気後退のリスクは劇的に高まった」と彼女は指摘した。

専門家は、原油価格の上昇が米国のインフレ率上昇につながると述べているが、ウッドによると、エネルギー価格の高騰はすなわち「EV(電気自動車)の普及や自動運転テクノロジーの推進を加速するのみだ」という。

これは、彼女の最大の投資先であるテスラにとって朗報だ。アーク・イノベーション・ファンドは10億ドル(約1150億円)以上のテスラ株を保有している。ウッドの旗艦ファンドはまた、バーチャルヘルスケア企業のTeladocに7億5000万ドル強、ストリーミングプラットフォームのRokuに7億ドル強、ビデオ会議のズームに約6億5000万ドル、暗号通貨取引所のコインベースに約6億ドルのポジションを持っている。

編集=上田裕資

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