5月から高齢ドライバーに実車試験を導入。免許更新時に注意すべきこと 

Kentaroo Tryman / Getty Images

高齢ドライバーによる事故が増えている。アクセルとブレーキを踏み間違えて店舗や民家に突っ込んだり、高速道路を逆走したりするなどの場合、認知機能の低下が疑われるケースは多い。

そのため、今年5月13日から、警察庁は75歳以上の一部の高齢ドライバーの免許更新時に、実車試験を行うことになった。パスしなければ免許は更新できなくなる。

そこで気になるのは、高齢者である自分の親の運転だ。もちろん、もしもの際の対策についても念頭に置いておきたいものだ。

高齢ドライバーが受ける検査と講習とは


高齢ドライバーによる事故の多さは以前からも問題になっていて、数年前から75歳以上のドライバーに対しては、運転免許証の更新時の高齢者講習の前に、認知機能検査を行うことになっている。

この認知機能検査は、記憶力や判断力を測定するもので、「時間の見当識」「手がかり再生」「時計描写」の3項目について30分ほどで検査される。

例えば、時計描写の検査では、時計の文字盤を描き、さらにその文字盤に指定された時刻を表す針を描くというものだ。検査終了後に採点し、その点数に応じて、「記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)」「記憶力・判断力が少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)」「記憶力・判断力に心配がない(認知機能の低下のおそれがない)」の判定が行われ、その検査結果に応じて高齢者講習が行われるという流れだ。

もしも、検査結果が「記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)」となれば、警察から連絡が入り、臨時適性検査(専門医による診断)を受けるか、医師の診断書の提出が必要になる。そして、認知症であると診断された場合には、聴聞等の手続のうえで、運転免許が取り消されたり、停止されたりすることになる。

この認知機能検査は、当初は更新時にしか義務付けられていなかったが、いまは、75歳以上のドライバーが、信号無視や通行区分違反、一時不停止など認知機能が低下したときに起こしやすい違反行為をしたときは、臨時認知機能検査が求められる。

そして、認知症であると診断された場合には、認知機能検査と同様に、運転免許の取り消しや停止となる。

認知症であると診断されなかった場合でも、それ以前の検査結果も鑑みて、認知機能の低下が一定の基準に該当した場合は、臨時の高齢者講習の受講が求められている。
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文・図=竹下さくら

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