格闘家を「仕事」と捉えず「自分業」として向き合う 青木真也のブレない姿勢

青木真也 氏(左)と澤円 氏(右)


澤:最後に「ファミリー」について。格闘家は、トレーナーとの関係もあると思いますが。
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青木:僕のポリシーは「借りたら返す」。それを実行していけば相手との間で、信頼関係が生まれる。僕は、格闘を「芸事」と呼んでいるのですが、「芸事」を尊重してくれる人とは、誰とでもいい関係が築けます。怪しい人には、踏み込まない。そういうアンテナが鋭敏なのかも知れません。

澤:博報堂から独立されて、現在The Breakthrough Company GO代表の三浦祟宏さんとの関係は?

青木:三浦さんとは、お付き合いするうちに、彼から格闘技への理解やリクペクトを感じて、いい関係を築いています。三浦、青木の関係でいうと、金銭を発生させると別れなくてはいけなくなる事もあるから「お金は要らないよ」って伝えています。だから、スポンサーと格闘家の関係ではなく、もっと精神性の高い友人みたいな関係です。僕は、カッコいいと思える事をやっていたい。スポンサーという存在は、令和の今、時代遅れな気がしています。
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澤:確かに。自分の美学を曲げないのって大事ですよね。

青木:最近、感じている事があって。スポーツに挑戦する人って今後増えると思うんです。日本は階級や階層が無いとされているけど、僕は存在すると思う。学歴やキャリアを超えるのは、スポーツであって、スポーツで抜きん出たら一発逆転が出来る。博打打ったもん勝ち。また、試合中に思うのは、フィリピンやタイなど、社会保障が確立していないから、向こうの選手のハングリー精神がすさまじい。

澤:ハングリー精神を発揮しなくてはいけない軍隊のトレーニングで、「最も辛いトレーニングは何?」と聞くと「走る事」と返ってくるそうです。時間も距離も決めずに、ただ、やみくもに走る事ほど辛い事は無い、と。集中力を必要とされる格闘技で、「格闘技は、筋力でなく情報量が大切」と以前に青木さんがおっしゃっていましたが、体験した事の情報量ほど、有効なものは無いのでしょうね。

青木:自分が体験した情報量や経験値。これが何よりの財産になりますね。

青木真也◎1983年静岡県生まれ。早稲田大学卒業。日本の総合格闘家、プロレスラー、柔術家。パラエストラ東京/Evolve MMA所属。第8代修斗世界ウェルター級王者。第2代、第6代ONE世界ライト級王者。第2代DREAMライト級王者。寝技や極めの技術に長け、跳関十段、バカサバイバーの異名を持つ。

澤円◎元日本マイクロソフト業務執行役員。圓窓代表取締役。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンターセンター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman’s Award」を受賞。

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