スティーブ・ジョブズの素顔:STORY03 マーク・アンドリーセン

ソフトウェア開発者を経てベンチャー投資家となった。

ジョブズ急逝から1年後の2012年本誌11月号にて、苦楽をともにした仲間たちが、“ありのままのジョブズ”を語ってくれた。今世紀最高の経営者の素顔とは。7つのエピソードを紹介する。

STORY 3 マーク・アンドリーセン (ベンチャーキャピタリスト)

iPhoneが世にお目見えする数カ月前、2006年秋のことです。スティーブ夫妻、そして妻と私で、ディナーに出かけました。シリコンバレーらしい爽やかな気候の夕暮れ、パロアルトのカリフォルニア・アベニュー沿いにあるレストランの外で、席が空くのを待っていました。

スティーブが「いいものを見せてあげます」と言って、ジーンズのポケットからiPhoneの試作モデルを引っ張り出しました。そして、私に新しいデバイスの特徴や機能について、一連の解説もしてくれたのです。

「すごいねえ」とか「いいねえ」とか一通り言ったあと、私は勇気を出して思ったことを言ってみました。当時、ブラックベリーの熱烈なファンであった私は、「物理的なキーボードがついていないことは問題にならないのかな。本当にスクリーンに直接打ち込むなんてことが受け入れられるのかな」と言ってみたのです。

すると、スティーブはあの、見つめられると穴があきそうな目で真っすぐに私を覗き込み、一言こう言いました。
「みんな慣れるさ」

コニー・ギリエルモ=インタビュー 山崎正夫=イラスト 徳田令子/アシーマ=翻訳

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