労組結成の動き広がる米スタバ 他企業が学べる教訓

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スターバックスで労組が結成されれば、同社も消費者獲得争いによって、成功が阻まれることになるだろうか? 自動車業界では、全社で労組が組織されているわけではないにもかかわらず、労組があるGMやフォード、クライスラーは事業を続けられている。これを考えると、スターバックスは全店舗が労組を結成しても生き残る可能性が高い。

しかし、給与や福利厚生が独立コーヒー店や小さなチェーン店が支払える範囲を大幅に超えれば、商品価格に影響が出るだろう。利用者の中には、ブランドへの忠誠心、あるいは労組への共感から、スターバックスに通い続ける人もいるかもしれないが、大半はより安い価格を望むはずだ。

こうした代償を一部埋め合わせるものとして、サービスの向上がある。給与が低い企業は、能力や勤勉さに欠ける従業員を雇わなければならない。一方、高い賃金を支払う企業は、優秀な人材を選ぶことができる。従業員の生産性が上がれば、賃金上昇による追加のコストが一部相殺されるだろう。

労組によって賃金や福利厚生が改善すれば、価格の上昇によって販売数が減るか、コストの上昇により収益が下がるかのどちらかになる。価格上昇に伴い販売数が減れば、必要な従業員も減少し、会社の組合員人口は減る。

一方で、会社側がコストの上昇を吸収すれば、もともと利益が少なかった店舗は赤字になり、閉鎖される。労組の活動により新店舗で収益が見込めなくなれば、新規開店は敬遠されるだろう。どちらにしろ、労組のある地域では、従業員の数は減る。労組の存在によって賃金が市場の平均以上になる限り、組合員は減るのだ。

近年の労組組織率の上昇は、求人数が失業者数を超えている熾烈な労働市場により引き起こされているとみられる。労働市場が通常の状態に戻れば、主に顧客獲得争いが少ない公益事業や政府などで労組結成が進むだろう。一方、顧客の奪い合いがあるセクターでは、労組は高い賃金を勝ち取れないだろう。

編集=遠藤宗生

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