経済・社会

2022.03.04 16:30

ウクライナのIT軍とアノニマスが進める「情報のゲリラ戦」

FABIO TEIXEIRA/Anadolu Agency via Getty Images

ウクライナ政府が設立した「IT軍」は、ロシア政府のプロパガンダに対抗する取り組みを始めている。ロシアの国営メデイアは、ロシア軍のウクライナ侵攻の実態をほとんど伝えておらず、本格的な戦争を始めようとしているのはウクライナの側だと主張している。

そのため、ロシア国民に正しい情報を伝えようとするウクライナのIT軍やハッカー集団の「アノニマス」らは、従来は考えられなかった手段に打って出た。彼らは、ロシアのレストランや観光地のグーグルマップにレビューを書き込み、現地の人々に真実を伝えようとしている。

IT軍は先日、公式ツイッターアカウントの「IT Army of Ukraine」を通じ、「グーグルマップにアクセスして、ロシアのレストランやショップのレビューの書き込みで、ウクライナで何が起こっているかを伝えてほしい」と呼びかけた。

アノニマスは、次のようなロシア語の例文を用意して、人々に投稿を呼びかけた。「いい店だったけど、プーチンがウクライナに侵攻したことで、気分を台無しにされたよ。独裁者が罪のない人々を殺すのを止めよう! あなたの政府は嘘をついている。立ち上がれ!」

さらに、ウクライナで撮影された写真を添えて、罪のない市民を爆撃したロシア軍を非難するレビューもある。

IT軍はレビューを書く際に5つ星の評価を付けるよう求めているが、これは現地のビジネスに配慮しつつ、投稿を目立たせるためだという。

しかし、この動きに気づいたトリップアドバイザーは、「実体験に基づかない投稿」が殺到したことを理由に、レビューの削除を開始し、グーグルも多くのレビューを削除している模様だ。

そんな中、別のグループはまた新たな方法を提案している。「Tinderか、ローカルの出会い系アプリを使って、プロフィールの説明文に情報を書き込んでほしい。そして、1時間ごとにロケーションを変えるのだ」と、Anonleaksと名乗るグループは投稿した。

さらに、マインクラフトなどのゲームを通じて、メッセージを広めているグループもある。

編集=上田裕資

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