今回のマスクの提案は、ツイッター上で、ロックバンドのキッスのジーン・シモンズの投稿に返信する形で行われた。シモンズは、バイデン大統領が、テスラがEV(電気自動車)市場のリーダーであるにもかかわらず、同社についての言及を避けていることを指摘し、その理由が「テスラが組合を持たない企業」だからだと述べた。
これに対しマスクは、「ベイエリアは人手不足であり、我々が従業員たちに十分な報酬を与えなければ、彼らは他の企業に移籍してしまうはずだ。私はこの投稿で、UAWを当社の工場に招待し、彼らが組合の投票を行うように呼びかけたい。テスラは彼らを止めたりしない」とツイートした。
マスクは長年、テスラの工場での組合結成を阻止しようとしており、今回の発言は突然の方針転換と言える。全米労働関係委員会(NLRB )は昨年、マスクが組合の活動家を解雇したことが労働法違反にあたると非難し、「従業員が組合に加入した場合、ストックオプションを無効化する」という、マスクの2018年の脅迫めいたツイートを削除するよう要請していた。解雇された従業員は、今も職場に復帰しておらず、マスクは問題のツイートを削除していない。
フォーブスはUAWにコメントを求めている。テスラが現在もなおNLRBに反発していることから考えて、UAWの組合結成に向けた投票の実現は困難だと考えられる。2020年初頭にPRチームを廃止したテスラは、コメント要請に応じていない。
マスクの今回の発言は、バイデン大統領が先日、数百億ドルを投じてEVの生産を急拡大する計画を発表したGMやフォードの試みを称賛したことを受けてのものと考えられる。大統領は、テスラの競合を褒め称える一方で、テスラについてはほとんど言及していない。
マスクはまた、GMとフォードのCEOが出席したホワイトハウスのイベントに招待されなかったことにも腹を立てており、1月28日のツイートで「バイデンは米国民をバカにしている」と激しく非難していた。
バイデン大統領は先月の演説で、就任後初めてテスラに言及し、テスラが「わが国最大のEVメーカーだ」と述べていた。
マスクは今回のツイートに続いて、2010年3月の「怒れる組合員たちの動画」を投稿しており、彼の組合結成についての発言がどこまで本気なのかは不明だ。「この古い動画は、テスラに勤務する元組合がなぜUAWの大ファンではないのかを説明するのに役立つ」と彼は述べている。
テスラの株価は3日の市場で約5%下落し、839.29ドルで取引を終えた。同社の株価は年初から約30%下落している。