ブレイクした日本代表「伊東純也」 圧倒的な個の力が組織に機能する

ヘンクに所属する伊東純也(photo by Photonews GettyImages)


一方でまだ見ぬワールドカップの舞台で戦う自らの姿を視野に入れながら、出場試合数が「31」に達した日本代表にかける思いは今まで以上に強くなっている。
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例えば敵地ジッダ21年10月に行われた、サウジアラビア代表とのカタールワールドカップ・アジア最終予選第3戦。累積警告で出場停止処分が科されていた伊東は、それでもベルギーからジッダへ渡って森保ジャパンに合流している。

試合に出られない以上は、続いて日本で行われるオーストラリア代表戦へ向けて、直接帰国して調整する選択肢もあった。それでも率先して裏方に回り、ボールの片付けなどでスタッフを手伝い、練習中の声がけなどでムードを盛り上げ続けた。

「招集された以上は、特に自分から何も言うことはなかったですね。自分としてはサウジアラビア戦をサポートしながら、コンディションを上げられればと考えていました」
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口調そのものは淡々としていた。それでも心の中で一緒に戦っていたと明かした伊東の言葉からは、ようやく居場所を見つけた森保ジャパンへ抱く熱い思いが見え隠れする。

果たして、敵地でのサウジアラビア戦で敗れて1勝2敗となり、カタールワールドカップ出場へ黄信号が灯った森保ジャパンは続くオーストラリア戦から5連勝をマーク。一時は4位にあえいだグループBにおける順位を、現時点で2位までに浮上させた。

その過程で伊東は、日本代表が臨んだアジア最終予選史上で最長タイとなる4試合連続ゴールを継続している。中国に勝利し、サウジアラビアには借りを返した直近のシリーズでは、日本があげた4得点すべてに絡む大車輪の活躍を演じてみせた。

「最初のころは少ししかプレー時間をもらえなかった。所属チームでしっかりと結果を残して、代表に招集された時には一生懸命に練習へ取り組んで、少しでもいいからチームに貢献したいと思ってきた結果として今がある。年齢的にも上の方になってきているので、もっとしっかりとやらなければいけないという自覚も出てきた」

ヘンクでの日々を介して得た手応えを、すべて代表チームへ還元する。森保ジャパンで描いてきた軌跡をこう振り返る伊東は、さらにこんな言葉を紡いでいる。

「自分の中での優先順位は『縦』ですね。右サイドを抜け出して相手が嫌がるところへクロスを入れ続けて、相手に縦を切られたら中に行くスタンスは変わらない。ワールドカップに出るのは簡単じゃないけど、それでも日本は絶対に出なきゃいけないと思っている。一戦一戦しっかりと勝つために、いい準備をして次へ臨みたい」

逆サイドの左にボールがある時には、意識して中へ入っていく形も加えた結果がゴールに結びついている。森保ジャパンの初陣で決めた代表初ゴールを皮切りに、ここまで8試合で9ゴールをマーク。すべてで勝利する必勝神話も生まれている。

森保ジャパンの次戦は3月24日。敵地シドニーでのオーストラリア戦でも伊東が「イナズマ」を轟かせ、5試合連続ゴールの新記録を樹立し、必勝神話も継続された時、グループBの2位以内を確定させた日本の7大会連続7度目のワールドカップ出場が決まる。

連載:THE TRUTH
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文=藤江直人

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