ビジネス

2022.03.11

日本代表チーム「NCCR」が挑む、世界を変えるイノベーションとは?

NCCRの副田幸暉、笠井涼平



アイデアをホワイトボードに書き出す副田と笠井

ふたりはもともと、三重県の津高校での同級生。2021年の夏に三重に帰省していた副田に笠井がこのイベントのことを話したところ、同級生の気安さからすんなりと「カーテンレールみたいなところにノイキャン付いたら、静かな空間ができんじゃね?」というアイデアが飛び出したという。

お互い、研究室で学ぶ学生ということもあり、雑音のなかで集中する難しさは日常的に感じていた。イヤホンを着け外しすることへの煩わしさ、オンライン授業のために静かな場所へ移動しなければいけないことも億劫だ。調べてみると騒音により悩みを抱えている人は世界中にいそうだ。時を遡れば、家族と過ごすなかでも音に邪魔をされたこともあった。ふたりが、このアイデアで勝負すると決断するまで多くの議論は必要としなかった。

しかし、11月になり、いざ日本代表選出を知った彼らは、歓びよりも戸惑いを強く感じることになる。トルコで開催予定のグローバルファイナルに参加しなければならない。それまでにプロトタイプを作り、プレゼンテーションを完成させないといけない。

副田が「いざグローバルファイナルへ行くとなると、日本ステージとワールドステージで求められるものが全く違うことに気づきました」と語れば、笠井は「多くの人が自分たちのために動いてくださっているなかで、自分が本当にやれるのかという不安が大きくなりました」と率直に胸のうちを語る。

ジャッジパネルのうち北原と馬渕が引き続きメンターを務める。馬渕に、彼らの初対面の印象を尋ねると「一言でいうと、いいやつ」と笑顔で教えてくれた。

馬渕が言う通り、笠井、副田のふたりは純朴な学生だ。グローバルなイベントへの規模感におののき、メンターの知見とスピード感に素直な驚きを隠せない。そんな彼らが、いかにして世界に挑戦するのか。

次回記事では、彼らのアイデアをさらに熟成しながら3月25日から27日に開催されるグローバルファイナルへの準備をすすめる様子をレポートする。

文=青山 鼓

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