ビジネス

2022.03.03

豊田大輔が考える未来のチームづくり。愛氣道に学んだ「争わず導く技」

ウーブン・プラネット・ホールディングスSVP、ウーブン・アルファ代表取締役の豊田大輔


──豊田家には「一代一業」の家訓があるそうですが、自動織機、自動車に続く「業」を意識しますか?

いまは目の前の仕事に懸命なので、そこまで考えたことはありません。ただ、誰かひとりが全部やるべきだという考えはもっていません。事業は、同じ思いをもつリーダーたち、仲間同士で築き上げるもの。チームでビジョンを共有し、同じ方向を向くのが大切です。

──そう考えるようになったきっかけは。

中学生のときにスポーツで腰を痛めてしまい、大学へ進むころには日常生活で歩くのも困難なほどでした。そこで、たまたま自宅にある本を読んで関心をもって、合氣道の門をたたきました。大きな影響を受け続け、いまもビジネスに応用していることが多いです。 

──具体的にどんな内容ですか。

合氣道では、相手と対峙しても、決して争いません。例えば、真正面から行こうとすると相手と自分の気もちがぶつかりますが、そうならないよう相手と同じ方向を向きます。相手より強い力、気もちで入っていくことも大事。仕事に当てはめると、口先だけで覚悟が伴わなければ、相手に響かないし、リードもできませんから。

また、相手を投げることを「導く」と言いますが、相手よりも遠くを見ないと導けない。ビジネスでも、相手の発言を理解したうえで、その先は「こうしてみよう、ああしてみないか」と話すのが肝心ですね。

──ビジネスで最も大切にすることは?

やはりコミュニケーション。伝言ゲームで丸くされた情報は、異なる方向に置き換わることがあります。結果、変化に対応できない組織になる。

反対に、透明性のある情報を共有すると組織にアセットがたまります。ウーブン・シティは過去に例のない試みなので、変化へ柔軟に対応できる組織になる必要がある。そのため、キーとなるステークホルダーが一次情報に直接アクセスできる情報共有の体制を取り入れています。



豊田大輔◎1988年生まれ。ウーブン・プラネット・ホールディングスSVP、ウーブン・アルファ代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業、バブソン大学経営大学院MBA。資産運用会社、トヨタ自動車、TRI-ADを経て21年1月より現職。レーシングドライバーとしても活動。

文=神吉弘邦 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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