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2022.03.07 07:30

不眠障害治療アプリのサスメド 分岐点は「医療への一本化」

サスメドCEO 上野太郎(撮影=曽川拓哉)

IPO(新規株式公開)を果たした起業家たちは、どのようなターニングポイントを経て、事業を成長させてきたのか。本連載「IPO起業家の 私たちが飛躍した瞬間」では、上場を手繰り寄せた「飛躍」の出来事と起業家たちの意思決定のプロセスに迫る。

第2回は、2021年12月24日に東証マザーズに上場した「サスメド」のCEO上野太郎。手がけているのは薬に頼らない新たな不眠障害治療だ。

現在、日本国内には約2000万人の不眠障害の潜在患者がいるとされ、うち600万人は薬物治療を行っている。しかし服用をやめた後に症状が悪化するリスクが高く、減薬は難しい。

サスメドは、副作用の少ない認知行動療法を用いたスマートフォンによる不眠障害治療用アプリの開発を行っており、すでに厚生労働省に医療機器として製造販売承認を申請済みだ。

上場初値は1500円で、終値ベースの時価総額は283億円。2月に発表した四半期決算では、2022年6月期(予想)の売上高は3億1300万円(前期比172%増)、純利益はマイナス3億1400万円となった。

収益化に関してはこれからの、研究開発をベースとしたディープテック企業だ。



サスメドは当初2つの事業を進めていたが、創業から3年の間に「医療分野への一本化」を決断。そこにはどのような背景があったのか。

CEOである上野と、創業期からサスメドに投資して支援をしてきた「Beyond Next Ventures(ビヨンド ネクスト ベンチャーズ)」の植波剣吾の2人が、

1. 創業まで
2. 創業3年目まで
3. IPOまで

これら3つの期間でのターニングポイントを振り返る。


ターニングポイント1 臨床現場の課題解決をめざし起業


上野は医学研究者であるかたわら、いまも週に一度、都内の病院で診察にもあたる現役の精神科医だ。彼は不眠障害治療にあたるなかで、ひとつの問題意識を抱いていた。

「睡眠薬の使い方に疑問を感じていました。依存性の問題などから、睡眠薬は必要最小限にするべきと臨床現場では言われていながら、医師は忙しく、非薬物療法を患者さんに提供する時間がない。そこで、スマホアプリであれば副作用も少なく、かつ効率的に治療できるのではないかと考えました」

サスメド
サスメドCEO 上野太郎

上野は、手始めに、患者が症状などを入力して臨床業務を効率化するアプリを自身で作成。事業を行うために形だけでもつくろうと、2015年7月に合同会社としてサスメドを設立した。
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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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