世界の子ども520万人超、コロナ禍で保護者失う 大半は父親が死亡

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新型コロナウイルスのパンデミックにより、親や保護者のうち少なくとも1人を亡くした子どもの数は、世界全体で520万人を超えたとみられることが分かった。米国では、その人数はおよそ20万500人と推定されている。

医学誌「ランセット・チャイルド・アンド・アドレセント・ヘルス」に掲載された論文は、パンデミックが発生した2020年3月~2021年10月の21カ国の出生・死亡に関するデータを用いた数学的モデリングにより割り出された結果をまとめたもの。

それによると、少なくとも1人の親・保護者を失った子どもの数は2021年5~10月の6カ月に、パンデミック発生からの14カ月間(2020年3月~2021年4月)のおよそ2倍に急増していたという。

論文の最終著者であるユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのロレイン・シャー教授は、この結果は新型コロナウイルスの新たな変異株、オミクロン株が流行し、感染者が大幅に増加する以前のデータに基づくものであり、実際の死者数はすでに、これを大きく上回っているはずだと指摘している。

論文によると、調査の対象期間中に親・保護者が新型コロナウイルス感染症(Covid-19)によって死亡した子どもは、0〜4歳が約50万人、5〜9歳の約74万人だった。10〜17歳では、約210万人にのぼっている。また、これらの子どもたちの4人に3人は、父親を亡くしたという。

研究チームはこれらの結果について、Covid-19による死亡リスクは男性の方が高いこと、第1子出産時の父親の平均年齢が上昇していることを反映したものとの見方を示している。

そのほか研究チームは、同様に世界中の多くの子どもたちから親・保護者を奪ったHIV/AIDSによる死者についても分析を行い、Covid-19の死者と比較した。その結果、Covid-19はわずか2年で、HIV/AIDSが10年間に子どもたちから奪ったのと同じ数の親・保護者を死に追いやっていたことが分かったという。

一方、コロナ禍で親・保護者を亡くした子どもの人数は、実際には正確な把握が困難だとされている。研究チームの分析は、入手可能なデータを用いたモデリングに基づくものであるほか、出生・死亡を的確に管理するシステムが構築されていない国も多い。

ただ、こうした結果を受け、研究チームは、親・保護者を失った子どもたちは貧困、搾取、虐待、HIV感染、メンタルヘルスの問題、教育を受ける機会の喪失(弟や妹の世話をするために通学をやめる)などに直面する可能性が高くなることを指摘。各国政府に対し、パンデミックが子どもたちにもたらすリスクへの対応を強化するよう求めている。

研究に参加した南アフリカ、クワズール・ナタール大学のクリス・デスモンド教授は、HIV/AIDSの流行で影響を受けた子どもたちを支援してきた過去20年の経験を基に、世界の保健医療コミュニティーは、Covid-19に親・保護者を奪われた子どもたちにも、同じ支援を提供していかなければならないと述べている。

編集=木内涼子

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