上海に拠点を置くインセプシオは、テンセントの元バイスプレジデントのJulian Maが2018年に設立した企業で、国内のOEMと協力し、貨物輸送ルートで使用される中国初のドライバーレス大型トラックを開発した。
今回の調達には、香港の大富豪ヘンリー・チェンの周大福エンタープライズや、中国のフードデリバリー大手の美団、中国のEV(電気自動車)の大富豪ウィリアム・リーのNIOキャピタルも参加した。
インセプティオによると、新たな資金はドライバーレストラックの大量生産や、これらの車両のEV化、独自のフルスタック自律走行システムの開発などに充てられるという。
「自動運転テクノロジーは、貨物輸送業界に画期的なアップグレードをもたらすことになる。当社は、フルスタックの自主開発にこだわり、独自のシステムで大量生産を行っていく」と、CEOのMaは述べている。
インセプティオは昨年8月にJDロジスティクスや美団、アジアに特化した投資会社PAGらの主導で2億7000万ドルを調達していた。この調達ラウンドには、中国のバッテリー大手のCATLやシンガポールの投資会社のGLP、IDGキャピタルらも参加していた。
ここ数年、中国の自動運転テクノロジー企業の進化は加速している。2020年12月に、アリババが支援する自動運転スタートアップのAutoXは、深圳で中国初のロボタクシーサービスを始動した。その1カ月後にバイドゥは、Geely(吉利自動車)との提携により、EVの生産を計画していることを明らかにした。
中国の自動運転分野は、政府の強力な後押しを受けている。中国工業情報化省は昨年4月、自動運転車のガイドラインを策定し、地方政府に対し、高速道路や道路を自動運転車のテスト用に開放するよう促した。