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2022.05.04 11:00

その「チン」、危ない! 私たちはそれを毎日0.5mg食べている

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缶詰食品、感熱紙のレシートは危険


BPAは甲状腺の機能を攪乱して、皮質──脳のなかで、ヒトに固有の非常に多くの機能とかかわっている部位──の発達中に甲状腺ホルモンの結合を妨げるおそれがある。
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ヒトのBPA曝露には、主なルートがふたつある。缶詰食品や缶入り飲料と、感熱紙のレシートだ。

ふたつのうち飲食物はとりわけ問題となる曝露のルートで、とくに子どもの場合、このルートが曝露の99%を占める。このことのさらなる裏づけは、家族の食事を生鮮食品に変えた先述の研究で得られており、BPAレベルも66%低下している。別の研究では逆のことをおこない、毎日、缶詰のスープを何度も食べさせたところ、BPAのレベルは1200%を超える急上昇を示した。

缶詰食品を食べるのをやめると、尿中のBPAのレベルが90%以上も低下しうる。中身の酸性度があるレベルに達していると、BPAが多少なりとも溶け出し、缶入りの炭酸飲料であれ、缶詰の野菜であれ、あらゆる飲食物にかなりよく入り込む。
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紙製の容器に入った食品を


BPAが使われた缶に代わる、安全な選択肢もいくつかある。紙製の容器に入った食品を選べば、缶をまったく使わずに、食物が媒介する微生物による病気も防げる。

一部の企業は、オレオレジンという天然由来の内面コーティング剤を使うようになっており、これは現在使われているポリカーボネート樹脂に比べてやや値段が高い(ひと缶あたり2.2セント)。本書で前に触れたように、私たちは、BPAを健康に影響しないものに置き換えた場合に考えられるコストとメリットを計算し、ほぼ相殺されることを明らかにした。計算の不確かさを考慮した一部のケースでは、BPAを置き換えるメリットがコストを上回っていた。

それなのに、缶詰食品や缶入り飲料でBPAの使用を禁止することについてはまだ反対が多い。BPAを、構造の似た化学物質ビスフェノールS(BPS)に置き換える動きも進んでいる。BPAの重要な炭素原子の代わりに硫黄(S)が入った物質である。BPSのほうがもっと環境に残りやすく、またBPAと同じくエストロゲン様作用があるようだ。BPSは、曝露のもうひとつのルートにあたる感熱紙のレシートに、BPAの代わりに使われてもいる。

最近までBPAは、プラスチック製の飲料水ボトルにも使われていた。どのボトルにBPAが使われているのかは、底のリサイクル用マークのなかに数字の7が記されているのでわかる【訳注/日本ではプラマークのそばにPCと記されたものが該当する】。したがって、BPAやBPSへの曝露を減らす方法としてさらに、「BPAフリー」や「BPSフリー」と表示されたボトルを買うか、数字の7が記されたボトルをいっさい買わないようにする手もある。
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