── 既存LPからの出資も金額ベースで8割。評価された点は。
シリコンバレーを代表する企業との「ビジネス連携」の成果です。
例えば、SOMPOホールディングスによるパランティア・テクノロジーズへの投資、ならびに合弁会社設立や三菱UFJ銀行によるコインベースへの投資。これらに代表されるように、LP企業による我々投資先への「投資利益」だけみても、多大な金額の利益を得ています。
事業利益と投資利益と双方でインパクトを与えるビジネス連携ともいえるでしょう。
さらに、私たちは、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの日本顧客獲得をはじめとした、「日本進出のサポート」に強みがあることがシリコンバレーでも知られています。投資先のスタートアップにとっても、資金に加え、日本およびアジア展開につながります。
Getty Images
こうした付加価値がよりトップティアの米国スタートアップへの投資機会を増やすことにつながっています。それにより、LP企業は、投資対象、および、協業を通した新規ビジネスの創出が可能になるという循環が生まれていると考えています。
投資リターンと事業リターンは両立する
事業リターンはもとより、投資リターンも高く評価していただいています。
我々には「投資リターンと事業リターンは両立する」という強い信念があります。それは、シリコンバレーのエコシステムを見てもあきらかです。
新しい事業を創り出すことは簡単でない。成長し市場で価値を証明しているスタートアップと組んでこそ、イノベーションは作り出せます。すぐになくなってしまうようなスタートアップと組んで事業リターンのみが出るというのはありえない。
事業会社の競争環境も変わり、同業のグローバル企業との競争へ変化するなかで、我々がイノベーションの「接点」をつくり、投資先やLP企業が勝つようにしたい。
── 米スタートアップの日本進出のメリットは大きいのか。
はい。スタートアップ時点での国際展開の重要性が増しています。2004年上場のグーグルは、上場時に資金調達し、グローバル市場を獲得。一方、10年以降は、フェイスブック(12年上場)のように、未上場時点でグローバル市場を押さえにいくのが主流です。
こうした変化の背景にあるのは、上場時の情報開示により、世界各地で同様の「コピー」事業や「コピー」サービスが次々生まれるようになったこと。
上場前にグローバル展開し、事業連携等でしっかりと進出できていれば、「コピー」に負けることがない。ただ、実際にそれらをしっかり支援することは容易ではありません。国際展開という付加価値で実績を出しているVCは少ないですね。