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2022.03.07 08:00

大手監査法人で最年少かつ女性初のトップ。EY新日本・片倉正美の挑戦

EY新日本有限責任監査法人 理事長 片倉正美

3月8日の「国際女性デー」を記念して、Forbes JAPANが実施した「WOMEN AWARD 2021」の受賞者インタビューを特別掲載。

トップバッターは、「ブレイクスルー賞」を受賞したEY新日本有限責任監査法人の理事長、片倉正美。無意識のバイアスに挑み、多様性ある職場環境の形成に寄与したとして同賞に選出された。

会計士業界初の女性トップとして、専門性の高い分野でリーダーとして活躍する姿は、次世代の女性たちにとりわけ勇気を与えてくれるはずだ。


公認会計士の合格者女性比率は過去最高でも「遅すぎる」


日本の4大会計事務所の一角をなすEY新日本。約6000人の従業員を率いる片倉正美は、真っ赤なワンピースで現れた。

「今日は弊社の広島事務所に、10周年を祝うビデオメッセージを送るんです」

広島カープのチームカラーを意識した装いは、コミュニケーションを大切にする片倉らしい気遣いだ。

2019年、大手監査法人初の女性理事長となって以来、女性活躍のロールモデルとして注目を集めている。昨年、公認会計士試験合格者の女性比率は24.6%と過去最高を記録したが、片倉が会計士になった30年前はようやく10%だった。

「当時からすると倍以上になりましたが、それでも30年かかった。スピードは遅いという印象をもっています」

自社においては、パートナー(経営層にあたる上位職)の女性比率を、現状の8%から10%にすることが当面の目標だ。

「海外のEYでは、パートナー職の30%以上が女性です。タイやフィリピンなど、女性のほうが多い国も珍しくありません」

女性管理職の割合を30%にすると、女性管理職がいない場合に比べ、収益性が15%向上するという分析もある。片倉は理事長就任後、3人の女性役員を登用し、役員の女性比率を25%まで上げた。

「私がいまの立場にいる間に、とにかく女性に“経験するチャンス”を、数多く見いだしてあげたいと思っています。理事長という立場だからこそ、人材を引き上げることも、役員を説得することもできますから。女性に新しい機会を与えるということを、任期中にやれるだけやっておきたい」

経験を積むことの大切さは、新人時代に学んでいる。

片倉が会計士として入所した当時、同じ部門に、日本の女性会計士第1号という大先輩がいた。女性というだけで追い返される時代に、彼女はクライアントチームのトップを張り、名の知れた経営者相手に「こんな儲からない商売やってどうするの!」と容赦なかった。しどろもどろになって小さくなる経営者に発破をかける様子を見て感動し、すぐにまねをした。

「1年生の身でありながら、クライアントの社長に対して『これ儲かってないんですけど、どうなんですかね』と(笑)。みんな唖然としていました」
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文=フォーブス ジャパン編集部 写真=高橋マナミ

この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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