知られざるサウナ大国、エストニアの「サウナと共にある暮らし」とは


エストニアでは、耐久性や木材の安定性を高めるサーモ加工を施した木材をサウナ室に採用し、様々な壁材を用いたデザイン性の高いサウナが次々と誕生した。Wi-Fi操作可能な電気サウナストーブも開発され、最新テクノロジーもふんだんに取り入れている。

null
最新鋭のサウナストーブと、装飾がされたサウナ用の内壁を取り入れたサウナ(筆者撮影)

一方フィンランドにおいては、伝統的かつシンプルなサウナが好まれるようで、ガラスや華美な内装材は敬遠される傾向にあるようだ。ストーブも同様で、シンプルな見た目でストーンが多く積める製品が好まれる。

実際にエストニアでバレルサウナの生産事業を手掛ける「Tesler Grupp」のAlari Tovstik氏に話を聞いても、エストニアやドイツ、日本からのオーダーに比べて、フィンランドからのオーダーはパノラマガラス等のオプション品を付ける傾向が少ないという。

null
日本の伝統技法”焼き杉”に倣って、表面を炙った木材を内壁に用いたエストニアのサウナ(筆者撮影)

なお、日本でプライベートサウナというと、まだまだ「富裕層の贅沢」というイメージが根強いと感じる。一方、エストニア人の平均月収は、日本やフィンランドと比べて半分程度の水準だ。それでも、サウナは収入に対して比較的低価格で販売されており、誰もが手に入れられる必需品として生活に根付いている。それは日本で家を建てる時に、お風呂場を設ける感覚に近いのかもしれない。この生活とサウナの距離の近さも、エストニアのサウナ文化の特徴と言えるだろう。

“お風呂と共にある暮らし”が日本人にとっての日常であるように、“サウナと共にある暮らし”はエストニア人にとっての日常だ。

今回書ききれなかったエストニアサウナの歴史やスモークサウナの伝統、そしてエストニア流のサウナの楽しみ方は次回以降に記していきたい。

文=齋藤アレックス剛太

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事