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ALS患者の自立を支援する「ブレイン・コンピュータ」企業の挑戦

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Getty Images

ユタ州に本社を置く「ブラックロック・ニューロテック(Blackrock Neurotech)」は、ブレイン・コンピュータ技術で、手足が動かせない四肢麻痺の人々の暮らしを変えようとしている。

同社のツールを使えばALSなどの難病を抱える人々が、考えるだけでタイピングを行ったり、ロボットアームで食事をしたり、家族と触れ合って温もりを感じることが可能になる。スタンフォード大学からライセンスを受けたテクノロジーを含むブラックロック社のプロダクトは、年内に市場に投入される予定だ。

ブレイン・コンピュータは近年注目を集める領域で、イーロン・マスクのNeuralink(ニューラリンク)は3億5000万ドル以上の資金を調達している。米国政府のDARPAプロジェクトもこの分野の複数のスタートアップを支援している。

自分の身体を思うようにコントロールできない人たちにとって、ブレイン・コンピュータは、自由を取り戻し、コミュニケーションをとる上で重要なツールとなる。

「当社のテクノロジーは、脳の神経細胞から信号を拾い上げてデバイスに送信することで、四肢麻痺の患者が義手を動かすことを可能にし、家にひきこもりがちな人々が、外部とコミュニケーションをとれるようにする」と、ブラックロック社の共同創業者でCEOのマーカス・ゲルハルトは筆者のポッドキャスト番組「TechFirst」の取材に述べた。



同社は、10年以上前からジョンズ・ホプキンス大学やカリフォルニア工科大学、ブラウン大学の神経科学研究者らと共同でブレイン・コンピュータ・インターフェース装置を製造しており、2012年から一部の患者にインプラントを提供している。

ユタアレイと名付けられた同社のマイクロチップは、無線アンテナの役割を果たす小さなピンで患者の脳に接続され、データを取得する。そのデータは、特許取得済みの機械学習ソフトウェアでデコードされ、ロボットアームやキーボード、マウスの操作を可能にする。

さらに、義手などのデバイスに取り付けられた触覚センサーを活用することで、手の感覚を無くした人が、他人の温もりを感じることが可能になるという。

エクセルの操作も可能に


「当社のテクノロジーは様々なデバイスの直感的な操作を可能にし、将来的には自動車の運転にも利用可能になる」とゲルハルトは述べている。ブラックロック社のブレイン・コンピュータを利用中のある患者は、会計士になるために勉強中で、同社はエクセルの操作を可能にするツールも開発中という。

ブラックロック社の試算で、30歳以下の四肢麻痺患者の生涯の医療コストは、370万ドルから540万ドル(約6億円)程度というが、同社の技術はそのような人々の自立を助け、医療費を削減する効果が期待できる。

「かつては職業に就けなかった人々が、自分の能力で賃金を得て、夢を追いかけることができるようになるとしたら、素晴らしいことだ」とゲルハルトは語った。

同社のプロダクトは今年中に市場に投入される予定で、価格は未定だが、「医療業界の一般的な基準に沿ったコスト」になるという。さらに、医療保険やクラウドファンディングの利用も想定しているという。

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編集=上田 裕資

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