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2022.02.28 11:30

TikTok運営元社員が突然死、中国テックの「過酷労働」に批判再燃

Emmanuel Wong/Getty Images

TikTok運営元の中国企業バイトダンス(ByteDance)は2月23日、呉(ウー)という姓の男性社員が死亡したことを確認した。同社の社内メモによると、彼は北京本社近くのジムでエクササイズを行っている時にめまいを感じ、病院に運ばれたという。

バイトダンスの広報担当者は、「彼の家族と友人に深い哀悼の意を表し、家族には最大限のサポートを行っていく」と、Eメールの声明で述べた。

同社は呉の死因を明らかにしていないが、28歳の彼の死のニュースは中国のSNS上で急速に広まり、テクノロジー企業の厳しい労働環境について多くの人がコメントしている。

呉は、バイトダンスのビデオアーキテクチャ部門で画像アルゴリズムのエンジニアを務めていたと報じられている。中国のテクノロジー業界では、約2週間前にも動画共有サイト「ビリビリ」のコンテンツモデレーターが春節の休暇中の残業で、脳出血によって死亡していた。

中国のSNSユーザーたちは、2つの事件を受けて、テクノロジー業界における長時間労働の問題についての議論を再燃させている。

アリババの共同創業者のジャック・マーやJD.comの創業者のリチャード・リウなどのテック業界のビリオネアたちはかつて、週に6日、午前9時から午後9時まで働くことを意味する「996」と呼ばれる過酷な勤務形態を推奨していたが、これに反発する声はますます高まっている。

中国版ツイッターとして知られるウェイボー(新浪微博)では、呉の死に関するハッシュタグが1億回以上も閲覧されており、ネットユーザーはバイトダンスに対して、労働者の待遇改善と労働時間の短縮を求めている。「こんなことはやめて、普通の労働時間にしてくれないか」と、あるユーザーは問いかけた。

当局もこの話題を注視しており、中国の最高人民法院と人力資源社会保障省は昨年、国内の大手インターネット企業の多くの長時間労働に対して警告を発していた。

この警告は昨年、格安Eコマースサイトの「拼多多(ピンドォドォ)」の社員2人が死亡したことを受けて出されていた。亡くなったうちの1人は20代前半の女性社員で、深夜に仕事場から歩いて帰宅中に倒れた後に死亡していた。

編集=上田裕資

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