ファッション

2022.03.02 08:30

「体にいい、環境にいい」がかっこいい。シンゾーン創業者が考える、アパレルの未来


セールがアパレル業界をダメにした?


シトウ:2018年から、オリジナル商品のセールを廃止する動きもありましたね。

染谷:そうですね。僕はこの業界がダメになった理由のひとつに、セールがあると思っています。

自分の買ったものがシーズン終わりには半額ぐらいになってしまう。それってがっかりするでしょう? で、さらに2週間経つと、もっと安くなるんです。近年はセール時期も早まってきました。

消費者の視点で考えると、商品を買うときに疑心暗鬼になってしまうなと思ったんです。「これセールになっちゃうのかな、なったら嫌だな」と。なので、信頼されるブランドになるために“そのシーズンの商品はセールしない”ことにしました。

シトウ:在庫問題はどうしているの?

染谷:そこは対策を考えました。ひとつは、定番商品を増やすこと。そしてもうひとつは、2020年11月に南青山にオープンした「ミドリコーヒ」です。

コーヒー豆と洋服を販売する店舗で、半年〜1年ほど経った商品をアウトレット価格で売っています。自分たちのお店なので、自社のスタッフが1点1点大事に販売することができるんです。

シトウ:自社アウトレットのようなイメージですか。

染谷:そうですね。ただ、「アウトレット」という表現をしたくなかったので、店名を工夫しました。実際、コーヒーの試飲と豆の販売をしているので。


2020年11月、本社近くにオープンした「ミドリコーヒ」

シトウ:実は先日、私も見に行きました。普通のお店と変わらないような感じで、商品を置いていて、いい意味でセール感がないお店ですよね。

染谷:そうです! そうしたかったんです。そこで、例えば「シンゾーンが好きだけど高くて買えなかった」という方や、買うかどうか迷っているうちに店頭からなくなっちゃったという方に来ていただきたいんです。

そのシーズンの商品はセールしないけど、時間が経って残ったものはミドリコーヒで売る、という透明性の高い循環をしていきたい。お客さまに対して誠実じゃなきゃいけないなと思うんですよね。

「新体制」のシンゾーンへ


シトウ:2021年7月からはシンゾーンから真太郎さんが抜けて、新体制になりましたね。具体的にはどういう変化があったのですか。

染谷:真太郎は、2022年秋冬までディレクションをしてもらうことになっていて、その後任として、2023年春夏から次男の裕亮がデザインチームに加入する予定です。

彼も15年間シンゾーンで働いていた経歴があり、妻と二人でレディースのアパレルブランドをやるため独立しました。そちらのブランドも引き続きやりながら、シンゾーンにも参加してもらう形です。いい部分は残しつつ、変えなければいけない部分は時間をかけて少し変えていこうと思っています。

シトウ:例えばそれはどんなことですか?
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聞き手=シトウレイ 構成=田中友梨 撮影=杉能信介

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