国際宇宙ステーションの乗組員が感じる「戦争の虚しさ」

国際宇宙ステーション(Paolo Nespoli - ESA/NASA via Getty Images)


宇宙で体験する「特別な感覚」


これまで、直接的な武力紛争の最中にある国を代表する宇宙飛行士が、ISSのミッションに参加した事例は無いが、宇宙空間を旅する彼らはしばしば、特別な感覚を味わうことになる。

1971年にアポロ14号に搭乗し、月面に滞在したエドガー・ミッチェルは、「ピープル」の取材に、「宇宙飛行士は、瞬時にグローバルな意識に目覚め、世界の状況に対する強い不満や、何かをしなければならないという衝動に駆られる」と語っていた。

「月面に居ると、国際政治がとるに足らないものに思える。政治家たちの首根っこを掴んで、宇宙の彼方まで引きずっていって、“あれを見ろ、この野郎!”って言ってやりたくなるんだ」

マストラキオもチャミトフも、この体験がとてもリアルだと話している。「永遠に続く暗闇の中に、地球だけが浮かんでいた」とチャミトフは話す。「信じられないような空虚さの中にある地球が、いかに貴重なものであるか、それが私たちの故郷なんだという感覚に圧倒される」

経済制裁は宇宙プログラムに影響を与えるかもしれないが、宇宙ステーションのクルーは何も影響を受けないとマストラキオは話す。「計画そのものは、今でもうまくいっている。私たちは宇宙へ行く前から友達だったし、お互いに助け合って仕事をしていた。これからもそれが続くだろう」

チャミトフは、世界がもっと宇宙での共同作業に注目してくれればと話す。宇宙空間でのコラボが、地政学上の良い見本になるかもしれないと彼は語った。

編集=上田裕資

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