AP通信の「難民のビデオのNFT」に抗議殺到、販売中止に

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AP通信は、「満員の船に乗って地中海を漂流する難民たち」の姿を撮影したビデオのNFTを販売しようとしていたが、ツイッターで抗議が殺到したことを受けて、2月24日にその計画を中止した。

同社が投稿したNFTの宣伝のツイートは、削除されるまでの間に少なくとも22万7000回以上、表示されていた模様だ。

AP通信はこの動画のNFTを、同社のフォトグラファーであるフェリペ・ダナ(Felipe Dana)の他のNFTとともに、翌日から同社の「フォトジャーナリズムNFTマーケットプレイス」で販売しようとしていた。

ツイートの画像は、APの画像ブログに掲載された、2018年にリビア沿岸で救助される難民を撮影したダナの作品と一致している。

ツイッターユーザーたちは、APの投稿を「ディストピア的」「極めて悪趣味」「人々の苦しみを誇張して収益化している」と非難していた。

APの担当者はフォーブスの取材に、ツイートを削除したことを認め、この画像を選んだことが「不適切な選択だった」と述べた。

フォーブスは、フォトグラファーのダナにもコメントを求めている。

AP通信は先月から、写真のNFT化を開始し、ブロックチェーンテクノロジー企業のXooaと共同でマーケットプレイスを立ち上げた。非営利の通信社である同社は、NFTの販売で得た収益を、「事実に基づいた偏りのないAPのジャーナリズムの資金に還元する」と述べている。

同社のマーケットプレイスに掲載されている画像は、イーサリアムで取引され、最も高価なもので1799ドル相当の値がついている。

「現状の当社のNFTマーケットプレイスは、非常に初期のパイロット版であり、我々は現在、これまでの努力を見直している」と、AP通信はフォーブスの取材に述べた。

編集=上田裕資

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