新型コロナが猛威をふるった2020年には、米国内のカジノの大半が何カ月も閉鎖を余儀なくされた。しかしAGAのビル・ミラー会長は2月15日の記者会見で、2021年は米国の賭博業界にとって「めざましい」年だったと総括。賭博業界はホスピタリティー部門のほかの業界や米経済全体と違って驚異的な回復を遂げているとし、先行きについても楽観していると語った。
米国一のギャンブルの街として君臨するのはやはりラスベガスだ。報告書によれば、2021年の賭博粗収益(GGR)は70億ドル(約8000億円)超を記録した。2位はアトランティックシティーの26億ドル(約3000億円)、3位はシカゴ都市圏(シカゴランド)の20億ドル(約2300億円)あまりとなっている。
全米に34カ所ある賭博管轄区域のうち、昨年は23カ所で売上高が過去最高になった。
最近はスマートフォンなどのアプリを用いたスポーツ賭博が注目されがちだが、昨年の売上高の伸びを牽引したのは本人が賭場などに足を運んで興じる従来型のギャンブルだった。施設のスロットマシンやテーブルゲーム、スポーツ賭博の売上高は456億2000万ドル(約5兆2300億円)と全体の85%を占めた。とくにスロットマシンからの収益は2019年比で10%急増している。
客足はまだパンデミック前の水準には戻っていないものの、1人あたりの支出額が大半の市場で増えたことで全体の売上高が押し上げられた。カジノを訪れる人の平均年齢はパンデミックが始まったころには49歳だったが、昨年は44歳に下がっている。
スポーツ賭博の売上高も伸びている。米国人は昨年、前年比165%増となる572億2000ドル(約6兆5600億円)をスポーツの試合結果に賭け、業界に過去最高の42億9000万ドル(約4920億円)の収益をもたらした。2020年から21年にかけて国内のスポーツ賭博市場が7つ増えたことが寄与した。
他方、「iGaming(アイゲーミング)」と総称されるオンラインギャンブルの売上高も急増している。iGamingが許可されている6州の合計で、昨年の売上高は前年比139%増となる37億1000万ドル(約4260億円)にのぼった。
スポーツ賭博についてはカリフォルニアやジョージア、ハワイなどさらに7州が許可するかを議論している。iGamingも昨年のコネティカット州とミシガン州に続き、ニューヨークやマサチューセッなどさらに4州が運営開始を検討中だ(編集注:米連邦最高裁判所は2018年、スポーツ賭博を原則禁止する連邦法を違憲とする判断を示し、州による合法化に道を開いている)。