タピオカは危険?
大事なのは飲みすぎないこと。そもそも澱粉は消化が悪い。理論上は、タピオカ同士がくっついてひとかたまりになり、消化器官を通過するのが困難になるおそれもある。濃密で弾力のあるタピオカにするために添加物が使われている場合はなおさらだ。浙江省の14歳の少女の件は、その理論が現実になった例といえる。そう考えると、タピオカティーを飲むのはほどほどにしておくほうがいいかもしれない。
量を控えたほうがいい理由はそれだけではない。タピオカティーはアスパラガスやケールとはちがう。紅茶や緑茶には確かに、ポリフェノールなど炎症や細胞の損傷を抑える効果のある抗酸化物質が含まれている。ただ、タピオカティーには大量の砂糖やほかの成分も含まれているので、カロリーがとても高い。タピオカの種類、またはピューレやコンデンスミルクなどによっては人工的な添加物が使われている場合もある。繰り返しになるが、ひとくちにタピオカといっても種類は千差万別だ。ヘルシーな食品ではなく、高カロリーなデザートだと思ったほうがいい。
タピオカティーを飲むときは、どんなタピオカが使われているか注意したい(Photo: Shutter Stock)
タピオカティーを飲むときに注意したいことはほかにもある。タピオカを飲み込む前に噛むことだ。そうすることでドリンクが口の中に広がり、よりおいしく味わうことができる。噛まずに飲み込むより、そのほうがずっといい。それに、タピオカを噛んで細かくすることで、飲み込みやすいだけでなく消化もしやすくなるので、窒息するリスクも低くなる。
もちろん、中国の14歳の少女を襲った悲劇は例外的なケースだろう。タピオカティーを飲んだ人たちがこぞって便秘や腹痛を訴え、病院や救急外来に殺到したという話は聞かない。医学・生物学文献データベースのPubMedで“タピオカティー”(英語で”bubble tea”)を検索しても、泡風呂(bubble bath)でのやけどや白目の鍋(tin bubble pot)についてなどタピオカとは無関係のものも含めてわずか15件しかなく、タピオカティーの危険性を量的に示すものは何もない。
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結局は自分で気をつけるよりほかないということだ。飲み過ぎに注意し、原材料にも気を配りたい。タピオカに「命を賭す」必要は、明らかにないのだから。