スポティファイは2月22日(米国時間)、例の「Car Thing」の一般販売開始を発表した。アップルの「Apple CarPlay」やグーグルの「Android Auto」を備えていない車でも、Spotifyが利用できるようになるハードウェアである。そう、スポティファイはハードウェアもつくるようになったのだ。
だが、これは愚策と言わざるを得ない。
すぐれた企業は、まず市場のニッチ(隙間)を見つけ、そこで競争上の優位を確保する。そうして、その優位性を生かせる新たなチャンスを見つけていく。単純だが、実績の重ねられてきたやり方である。
Car Thingもそれにならったものと思われている。Car Thingはクレジットカードほどの大きさのタッチパネルを備えた、プラスチック製外装のデバイスで、Spotifyのアプリに完全にアクセスできる。価格は約90ドル(約1万円)。この機器によって、Spotifyを車内に持ち込めるとされている。
だが実際はというと、これは「スマートフォン用の高価なリモコン」といったところの代物だ。インターネットへの接続やデータの保存、演算処理などのために、使うにはスマートフォンが必要になるのだ。スマートデバイス時代にあって、なんとも「賢くない」機器だ。未熟な企業の経営陣が、次にあてたい製品を探しているときに出てきがちな製品でもある。