実際には彼らは、「パフォーマンスのことや、完璧であろうとすること、ファンのためにイメージを保とうとすることなどによって、より強いプレッシャーを感じていることが多い」。そのためほかの人たちよりも、「助けを求めることが難しい」という。
人が自ら命を絶つとき、その理由がたった一つであることは、ほとんどない。これは、非常に重要な点だ。自殺は複雑で、関連のあるすべての要因を、本人以外が理解できるわけではない。
自殺を防ぐための「障壁」を乗り超えるには──?
メンタルヘルスに問題を抱える人は、それを「不名誉なことだ」と感じる。そうした気持ちは、治療における大きな障害であり、解消していくための努力が必要だ。そして、そのために大切なのが、話し合いを続けることだ。
これについてフィンク医師は、「私たちが悲しみ、その悲しみを処理していく方法は、人と話し、共有すること以外にない」と述べている。また、アーティ医師は、「繊細な、そして痛みを伴うこのテーマについて、勇気を持って、外聞をはばからずに、議論する必要がある。議論すること自体が、命を救うことになるかもしれないからだ」と訴える。
また、自殺に関する誤解を解くことも重要だ。誤解の例としてロイ准教授が挙げるのは、多くの人が、「自殺願望があるかどうか相手に尋ねても、その人が自殺するリスクが高まるわけではない」と考えていることだ。また、自傷行為について尋ねることは、思いやりを持って質問していることが伝われば、正直な気持ちを語り、助けを求めるきっかけになる可能性があるという。