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2022.02.26 12:00

ドラえもんの実現を目指す研究者が、「偏差値50」の大学を選んだ理由

開発中のロボットを手にする大澤正彦

開発中のロボットを手にする大澤正彦

「ドラえもんをつくりたい」

大澤正彦は、物心がついたときからこの壮大な夢を追いかけてきた。そして29歳になった今、日本大学文理学部 情報科学科の助教として研究を続け、夢を現実にしようとしている。

彼のドラえもんプロジェクト完了の目標は、2044年。慶應義塾大学理工学部在学中に人工知能コミュニティー「全脳アーキテクチャ若手の会」を設立した2014年から、30年後に設定している。

2020年4月からは日本大学で教鞭をとり、12月には大学の枠組みを超えた「次世代社会研究センター(RINGS)」を立ち上げた。現在は、自身の研究室とRINGSでドラえもんに関する研究を行っている。

大澤の考える「ドラえもん」とは何なのか、本当に実現するのか。大澤研究室を訪問し、話を聞いた。


──なぜ「ドラえもん」なのですか?

好きになったきっかけはわかりません。「ごはんを食べたい」「寝たい」というのと同じ感覚で、物心がついたときから好きだったので。母から「3歳のときのカラオケデビューは『ドラえもん』だったよ」と言われたので、そのころから“すでに”ですね(笑)。

僕がファンの一人として考える『ドラえもん』の魅力は、「ドラえもんとのび太の関係性」です。だからこそ、開発においても、心やインタラクションに注力しています。

──「ドラえもん」の定義って、何でしょう?

僕がたまたま「のび太との関係性」に魅力を感じているからといって、「ドラえもんの本質はそこか」というとそうではないですよね。僕は研究者として、世界中から愛されている『ドラえもん』だからこそ、誰のドラえもん観も否定しないものをつくらなきゃいけないと思っています。だからこそ、定義に苦しみました。

“どこでもドア”や“タイムマシン”など、「この機能が実現できたら……」といくら列挙し続けても、世界中の皆が認めてくれる「ドラえもん」にはたどり着けません。そこで、「みんなに認めてもらうこと自体が定義なんじゃないか」という暫定案にたどり着きました。
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文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 撮影=小田光二

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