現在、世界でもっとも高齢化が進んでいる国は日本だ。2023年には人口の過半数が50歳以上になる見通しとなっている。米国でもすでに、仕事に就いている人の44%を50歳以上が占めている。
こうした人口構造の大きな変化への備えが進んでいる国はどこか。ジェンダー関連のコンサルティングを手がける20ファーストが、各国の高齢化への対応状況をランクづけした最新の「長寿管理番付(Longevity Management Scorecard)」を発表したので紹介したい。
この番付では「寿命」「医療」「幸福度」という3つの指標を用い、それぞれの順位を合算した「スコア」が小さいほど高齢化への対応が「よい」国としている。上位の国ほど、老いていくのに適した場所ということになる。
平均余命は一般的にその国の生活の質を反映したものとみることができ、順位が高いほど高齢世代に関する経験が豊かだと考えられる。
質の高い医療は、人々が健康的に年を重ねていくうえで非常に重要なものである。そのため、人口や労働力の高齢化をサポートする医療体制の充実度も評価対象になっている。
また、幸福度指数の順位は国民の満足度を反映しており、あらゆる年齢層を通じた生活の質についての一般的な指標になる。
2022年版の番付の上位10カ国は次のようになっている。丸かっこ内は左から「寿命」「医療」「幸福度」の各順位、スコア、65歳以上の人口比率だ。
1位 スイス(7位、16位、3位、26点、19%)
2位 オーストラリア(12位、9位、11位、32点、16%)
3位 ノルウェー(24位、12位、6位、42点、18%)
同 フランス(18位、3位、21位、42点、¬¬20%)
5位 オランダ(27位、11位、5位、43点、20%)
同 スペイン(10位、6位、27位、43点、20%)
7位 フィンランド(34位、10位、1位、45点、22%)
8位 イスラエル(16位、18位、12位、46点、12%)
9位 デンマーク(46位、5位、2位、53点、20%)
10位 ニュージーランド(26位、19位、9位、54点、16%)
国内総生産(GDP)規模で1位の米国は、「寿命」が70位、「医療」が30位、「幸福度」が19位で全体では26位(119点)。GDP2位の中国は「寿命」が94位、「医療」が40位、「幸福度」が84位で全体では49位(218点)に沈んでいる。総人口に占める65歳以上の割合は米国は17%、中国は12%となっている。
日本は「寿命」と「医療」がそれぞれ4位だが、「幸福度」の56位が響き、全体では15位(64点)にとどまっている。隣の韓国は「寿命」が14位、「医療」が2位だが、やはり「幸福度」が62位と低く、全体では21位(78点)となっている。
GDP規模の上位10カ国で今回の番付でもトップ10に入っているのは、フランス(GDPは世界7位)1国だけだ。GDP6位のインドはこの番付では83位まで下がる。インドは65歳以上の人口比率が7%と、比較的「若い」国にあたる。