さらにウォルマートは、他の小売企業がほぼどこも実現できなかった独自のものを利用できた。それは、米社会や文化への深い浸透だ。同社のこうした評判は、アマゾンなどオンライン小売企業やターゲット、クローガーなど他の小売大手との厳しい闘いさえ生き残る力をウォルマートに与えた。
こうしたそれぞれの要素により、同社は最も必要としている集団に質の高い医療を提供する機会を増やす上では特に、米国でも最大級の医療企業の一つとなるかもしれない。
ウォルマートは現在、米国だけでも4700店舗以上を経営し、国内に広範なネットワークを持っている。こうした多くの実店鋪を医療の提供に活用することは、ウォルマートの熟練した経営知識とリソースを考えれば自然な流れだと言える。
筆者は昨年、ウォルマートが一部の店舗で小売の顧客に安定した初期治療サービスを提供し、医療事業を急速に強化していると述べた。同社の「ケア・クリニック(Care Clinic)」の構想では「初期診療や歯科、カウンセリング、検査やX線、人間ドック、検眼、聴力検査、フィットネスや栄養学、健康保険やその加入」などのサービスが提供され、現在はアーカンソー州やジョージア州、イリノイ州、テキサス州などで提供されている。
ウォルマートは画期的な取り組みとして昨年末、世界の著名な電子カルテ(EMR)企業エピック(Epic)と提携し、同社の医療施設で活用すると発表した。
エピックは2000以上の病院で採用されている非常に一般的なEMRシステムで、この発表は重要な節目となった。このニュースは、ウォルマートが医療事業で重要な存在になるため必要な投資を行い、協業関係を構築する準備ができていることを示している。
小売店鋪に加え、同社のイノベーション実績を踏まえれば、バーチャル医療や遠隔医療、薬剤サービスなど同社には医療関連のさまざまな事業分野で限りない成長の余地がある。各分野で同社がどのようにサービスを拡大するかについては、時間がたてば分かるだろう。
ウォルマートは医療セクターで成長を続けるのみだろう。同社は、このセクターで認知されるべき企業だ。多くのリソースと今後についての明確なビジョン、先見の明がある経営陣を持つことから、ウォルマートの医療分野における未来は非常に前途有望だ。