今回の調達ラウンドは、ロシア最大のモバイルネットワーク事業者であるMTSが主導し、VPEキャピタルとVENベンチャーズも参加した。
今回の取引によってUrentは、MTSのサービスにEスクーターレンタルを統合するなどの協業を行い、B2Bサービスの開発や、都市での事業をサポートするための新たなサービスステーションの開設などを計画中だ。
MTSの戦略担当バイスプレジデントのアレクサンダー・ゴルブノフは、ロシアのマイクロモビリティ市場が、今後2年間で現在の3倍の約5億ドル(約570億円)に拡大すると予想している。
MTSは近い将来、同社のサブスクリプションとロイヤリティプログラムにEスクーターのレンタルを組み込む予定という。また、MTSブランドでのEスクーターの販売や、Urent用の動画登録サービスを備えた新たなコントローラーの開発も検討中という。
「我々はUrentの株式を取得することで、商業的パートナーシップを可能にし、彼らの市場におけるポジションを強化していく」とゴルブノフは述べている。
ロシアのEスクーターのシェアリング市場の50%を占めるとされるUrentの共同創業者のアンドレイ・アザロフは、声明の中で、ロシアにおけるマイクロモビリティの需要が十分に満たされていないと指摘し、「エコシステムの統合がこの市場を強力に成長させる。マイクロモビリティを最もうまく統合した企業が市場のリーダーになると確信している」と述べた。
Urentは現在、ロシア国内のみで事業を展開しており、当面は海外進出の予定は無いという。同社の広報担当者は、「現状では、地政学的な状況から西側に進出するのは難しい」と述べた。
アザロフは、Urentが近い将来、追加でデットファイナンスによる資金調達を計画していると付け加えた。同社は昨年、ロシアの国営銀行のスベルバンク、配車サービス企業のCitimobil、複合企業のSistemaなどから1600万ドルを調達していた。
Eスクーターのシェアリングは、モスクワなどの大都市で人気を博しており、Urentの競合としてはオトクリティ銀行が支援するスタートアップの「Whoosh」が挙げられる。ただし、この分野には課題もある。昨年、Eスクーターの事故が多数報告されたことを受けて、モスクワ市の当局は時速9マイル(約15キロ)の速度制限を実施した。