米国でコロナ禍のさなかの職場恋愛が増加

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SHRMのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるジョニー・C・テイラー・ジュニア(Johnny C. Taylor, Jr.)は、職場恋愛の現状についてこう分析している。「コロナ禍により、多くの人々が離れ離れの生活を余儀なくされているなかで、リモート形式であれ、それ以外の方法であれ、労働者が職場の同僚につながりを求めるのは意外ではない」

しかしその一方でテイラーは、釘を刺すことも忘れていない。「労働者が職場で恋愛対象を見つけている現状があるのなら、雇用主の側も、職場恋愛に関する方針を策定し、恋愛関係が破綻した時に職場に悪影響が及ばないよう対策を講じることが大切だ」

テイラーはさらに、人事担当者に向けてこうアドバイスしている。「情実による優遇や報復、セクシャル・ハラスメントなど、こうした(社内恋愛に関わる)状況において、従業員を守るのは人事担当者の責任だ。透明性とプロフェッショナリズムを徹底させることが重要となる。また、どこまでは許容され、どこからは許容されないのかという、行動規範に関する情報を提供するべきだ。職場での恋愛関係をいつ、誰に報告する必要があるかという基準も、ここには含まれる」

この報告を知って、人々が緊密につながりあっていることに驚いた人もいるだろう。これだけ長いあいだ、人と会わない生活を続けていると、仲間、さらには恋愛の相手を探したくなるのは納得できる話ではある。だが、リモートワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッド形式の勤務形態については、労働者をわざわざオフィスに通わせる必要がどこにあるのかと、疑問を呈した人も多かった。在宅勤務の効率がとても高いことを考えると、週に2~3回とはいえ、オフィス勤務を復活させるのは理不尽に思える場合もある。

だが、この調査結果からは、企業幹部が労働者をオフィスに呼び戻したいと考える理由の一つが見えてくる。オフィスのビル内を歩き回る人は少なくはなったものの、そうした人たちのあいだでは、同僚と会話を交わして相手のことを知ろうとするハードルが下がっているのかもしれない。そこから一緒にコーヒーを飲みに出かける仲になり、気がつけばバレンタイン・デーのデートの相手になっていた、というケースもあるだろう。

双方の同意があること、きちんと情報提供がされていること、地位の格差や不適切な言動がないこと、という但し書きはつくものの、これらの条件さえ満たしていれば、混沌とした今の世の中においても良いニュースはあるのだと、前向きに受け止めることができるだろう。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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