英BBCによれば、女王は2021年1月に新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の1回目のワクチン接種を受けた後、(王室は公表していないものの)2回目とブースター(追加免疫)接種のどちらも受けているとみられる。
女王が高齢の感染者に特有のリスクに直面していることは確かだ。米疾病対策センター(CDC)によると(リスクレベルは個人によって異なるが)、85歳以上の感染者が合併症で死亡するリスクは、18~29歳の340倍にのぼるという。
ただ、女王がブースター接種も受けているのであれば、回復する可能性はかなり高くなるだろう。イスラエルで行われ、昨年末に発表された研究結果では、ブースター接種を受けた65歳以上の47万人以上のうち、感染によって死亡した人は60人にとどまっている。
とはいえ、このイスラエルの研究では、女王ほど高齢の人に絞り込んだデータは明らかにされていない。CDCによると、エリザベス女王と同じくらいの年齢の人が感染した場合に死亡する確率は、偶然にも女王と同日に感染を公表したポップスター、ジャスティン・ビーバー(27)と同世代の人より、およそ340倍高くなるという。
それだけではない。英国居住者の医療データに基づき、感染に伴うリスクを割り出して公表する英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルのウェブサイト、「QCovid」によると、ワクチンを接種した95歳の女性(エリザベス女王はこのグループに該当するとみられる)が感染した場合の死亡リスクは、1.8%と推定される。
一方、ビーバーと同年齢の男性が追加接種まで受けていた場合に感染により死亡する確率は、わずか0.004%だ。つまり、女王にとってのリスクは、ビーバーより450倍ほど大きいことになる。
ただ、性別でみると、感染した場合の死亡リスクはパンデミック発生の当初から現在まで、一貫して男性の方が高くなっている。QCovidによれば、95歳の場合、感染によって死亡するリスクは女性が1.8%であるのに対し、男性は2倍の3.6%となっている。
バッキンガム宮殿が感染を公表した後、エリザベス女王は北京五輪に出場したカーリングの女子と男子代表チームそれぞれに、金メダル、銀メダルの獲得を祝うメッセージを送った。これについてBBCは、女王の感染が明らかになった後も、すべて“通常どおり”であることを強調する狙いがあったのだろうと推測している。
エリザベスの長男チャールズ(73)も2月10日、2度目の感染が確認されたことを明らかにしている。