キャリア・教育

2022.02.24 08:00

「ジョブ型雇用」、日本人が生き抜くヒントとは?


引き上げてくれる上司を選ぶ


ジョブ型雇用において、職務を選ぶ以上に、実は「上司を選ぶこと」が大切だと私は実感しています。

ジョブ型雇用では、職務だけではなく、その職務の上司となるマネージャーも職務募集時に公開されます。人事部ではなく、各部署のマネージャーが採用・人事評価を行うことが、ジョブ型雇用の特徴の一つです。

ポジションを変更したい場合、異動の成否には現マネージャーの評価が影響するため、マネージャーとの相性は非常に重要です。

では、どのようにして相性の良い上司を選ぶかというと、私は次のような点を意識しています。

1.異動を希望する部署の上司となるマネージャーと、事前に「コーヒーチャット」を実施する

コーヒーチャットとは、正式なプロセスではないカジュアルな面談のことです。この場で、その人の人柄や信条、チームの育成方針、自分との相性などを確認します。具体的には、公表している方針とマネージャーの言動が矛盾していないか、KPIが不適切でないかなどを確かめ、価値観が合わなかったり違和感を感じたりすれば、自身の声に素直に耳を傾けるようにしています。


Getty Images

2.自分が異動する時に、上司となるマネージャーが在籍していることを確認する

ジョブ型雇用では人材の流動性が高まるため、マネージャーとの相性が良いと判断して異動したとしても、実際の配属時にはそのマネージャーがすでに退社しているケースもあります。そのため、私は面談のなかで、「今の仕事は好きですか?」「しばらくいますよね?」という質問を投げかけて、どこに組織課題があるのか、当面は残ってくれそうか、を見極めるようにしています。

3.退職者や以前の部下からマネージャーの評判を聞く

退職した以前の部下の話を聞くことは、事故予防に繋がります。採用面談では感じが良かったとしても、実際に仕事をしてみるとそりが合わなかったということは残念ながらどこの世界にもよくあるからです。一度選んでしまうと、上司が変わるのには時間がかかるので、事前にヒアリングを行うようにしています。

リーダーシップのあるマネージャーは、自身が異動するとメンバーも一緒に異動することがよくあります。そのため、「上司を選ぶ」ことは重要であり、これがメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への根源的な変化のひとつであるといえるでしょう。

個人が会社に属するというよりも、個人が主体的に自身の道を追求していくという点で、「ジョブ型」雇用は社員ひとりひとりに大きな裁量を与えます。

ジョブ型雇用への転換は、ありたい姿を目指して自律的なキャリア形成を進めていく良いチャンスだと捉えています。

文=伊藤みさき 構成=竹崎孝二

ForbesBrandVoice

人気記事