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2022.02.25

DXの成否を左右するのは、「CIO」の手腕だ──いま、CIO Awardを新たに設立する意義とは

(写真左から)JFEスチールの新田 哲、クレディセゾンの小野和俊、日本取引所グループの横山隆介、アステラス製薬の須田真也、トラスコ中山の数見 篤

Forbes JAPANは2022年2月、日本のDXを情報システムの側面からけん引するCIOを選出するCIO Awardをレノボ・ジャパンとともに設立した。これまで注目されることの少なかったCIOに光を当てる意義は何か。アドバイザリーボードを務めた3人が明かした。



従来、情報システム部門は安定稼働が最重要課題だった。ところが、IT化・デジタル化が進んだいま、“するべきこと”は格段に増えている。その傾向に拍車をかけたのがコロナ禍だ。テレワークや脱はんこ・ペーパーレスだけでなく、販売チャネルのデジタル化など顧客接点の最適化も図らなくてはならない。

この激変期に対応できたかどうかで、企業の業績に大きく差がついたと言っていいだろう。スムーズに対応できた企業、あるいは、成長のきっかけとできた企業は何が違うのか。Forbes JAPANとレノボ・ジ ャパンは、そのカギを握るのが「CIO(最高情報責任者、Chief Information Officer)」だと考えた。DXが、企業や行政の最重要アジェンダとなっているいま、情報システムのマネジメントがかつてないほど重要度を高めているからだ。ならば、日本が真のデジタル立国を実現するため、CIOの価値を引き上げたい──。こうした思いが、CIO Award誕生の背景にある。

では、どのようなCIOがロールモデルにふさわしいのか。そして、現在および次世代のCIOはどのような役割が求められるのだろうか。

ケイパビリティ向上は必須条件


CIO Awardのアドバイザリーボードを務めるDX JAPAN代表の植野大輔はまず「CIOの役割は大きく変化している」と話す。

「経営戦略と一体化したIT戦略の推進を担うだけでなく、DXの文脈で、デジタル技術を活用した新規ビジネスを開発することへの関与も求められるようになってきました。そういった部分も積極的に主導しなくてはなりませんので、CIOが活躍すべき範囲は非常に広がっています」

同じくアドバイザリーボードを務める早稲田大学ビジネススクール教授の根来龍之はそれに加え、ビジネスデザインの領域をカバーしなければならなくなってきたと指摘する。 

「20年ほど前は、CIOが業務改革を兼務するケースが目立ちました。ところが昨今は、CDO(最高デジタル責任者、Chief Digital Officer)やCTO(最高技術責任者、Chief Technology Officer)の兼務が増えています。業務改革はプロセスおよびバックヤードの改善ですが、CDOやCTOはビジネスの付加価値を見直さなくてはなりません」

オペレーションだけでなく、ビジネス全体をITやデジタルの観点で見渡していく必要が出てきたということだろう。さらに、本質的なケイパビリティの向上を意識することが求められると付け加えるのは、もうひとりのアドバイザリーボード、レノボ・ジャパン社長のデビット・ベネットだ。

「コロナ禍でテレワークにチャレンジして、セキュリティ面のケアもしなければならないなど、CIOが果たすべき役割は確実に増えています。アフターコロナを見据えると、さらに多くの問題が出てくるでしょう。予想されるのは、エンゲージメントの問題とメンタルヘルスです」 

テレワークに切り替わることで、従来とは異なる働き方に戸惑うビジネスパーソンも少なくない。人と組織の関係性が変化し、ある種のターニングポイントを迎えているいま、企業はあり方自体の見直しを迫 られているともいえる。

「従業員エンゲージメントを高めるにはどうしたらいいのか、そのための仕組みづくりが今後は非常に重要になると考えています。CIOは、その取り組みのキーパーソンとなるのではないでしょうか」と話すデビット。そうしたシステムを構築するためには、従業員をいかにエンパワーメントするかも配慮しなくてはならない。「だからこそIT戦略には攻めと守りが必要」と反応したのはDX JAPANの植野だ。 

「システムはそもそも絶対に止めてはなりません。事故を起こさないよう守る部分と、ビジネスの成長につなげていく攻めの部分。このバランスを絶妙に保つことを要求されるのが、CIOというポジションだと思います」


写真左より、早稲田大学ビジネススクール教授で同大学IT戦略研究所所長の根来龍之、レノボ・ジャパン社長のデビット・ベネット、DX JAPAN代表 植野大輔、モデレーターの瀧口友里奈。

「攻めのIT」へのシフトは不可欠


植野が指摘した「システムを止めてはならない」という言葉は、非常に重い意味をもつ。早稲田大学の根来も、次のように話す。

「情報システム部門の予算の7~8割は、保守・運用にかかります。既存システムのメンテナンスやリニューアル、そしてランニングコストにかかる費用はかなり大きいのが現実で、逆にその予算のなかで、いかにシステムをうまく維持していくかが問われます。これが守りの部分です。新しいことにチャレンジする、攻めの部分に費やせるのは2~3割です」 

攻めの部分も、細かく分けると「真の攻め」と「守りに近い攻め」に分かれるという。業界全部が取り組んでいるからやらなければならない、これは後者だ。コロナ禍でのテレワークの導入が典型例だろう。それに対して、ビジネスモデルを変革していくのが「真の攻め」となる。

しかし、そう考えると、「真の攻め」に残された原資は非常に少ないということになってしまう。それで果たしていいのか、レノボ・ジャパンのデビットが疑問を呈する。

「日本は世界でも積極的にIT投資をしている国の一つです。しかし、そのほとんどがレガシーシステムに投じられています。AIやエッジコンピューティングといった最先端のテクノロジーが次々に登場しているのに、乗り遅れているのが現状ではないでしょうか。これからもう少し投資比率を『真の攻め』に振り向けないと、国際競争力がさらに落としてしまうのではと懸念します」

「攻め」への姿勢を投資比率でも明確に見せる──。それを主導するのもCIOの役割だというわけだ。

CIOがDXけん引のリーダーであるべき理由


とはいえ、単に予算を確保するだけではCIOとしての役割を十分に果たせているとはいえない。

「真の攻め」を担う存在として必要なのは、自社のバリューポジションをどこに置くかを見極め、顧客との接点を構築することだと早稲田大学の根来は説く。

「デジタルシフトによって、いまやシステムがなければ顧客との接点がつくれません。その意味でもCIOの役割は重要ですし、顧客視点を取り入れたビジネスデザインが求められます。これは、中長期的な未来を見通すうえでも有効です。デジタルの世界は技術革新のスピードが速いですが、常時つながる、常時モニタリングすることを前提としたビジネスのやり方は長期トレンドになると思いますので、その観点はCIOに求められるのではないでしょうか」

安定稼働のみを求められていた時代とは異なり、企業の未来像を描き、先頭に立って実現していく存在。新たなデジタル機器やITサービスの導入に当たっても、この視点がなければ逆に組織が空中分解してしまう。レノボ・ジャパンのデビットも、経営者としてその重要性を痛感しているようだ。

「先日、VRの会議を開催して実感したのは、新たなテクノロジーの活用を検討する際における経営課題を見据えることの重要性です。今後、さらなる進化が予想されるメタバースも、顧客にとっての価値や 自社のビジネスのポジションを踏まえたうえで活用することが求められます」

だからこそ、CIOを応援したいとデビットは重ねる。

「私たちはDXにチャレンジするCIOをずっと応援してきましたが、その役割が大きくなってきているいま、その手腕がDXの成否を左右すると考えています。Forbes JAPANと設立したCIO Awardで、活躍しているCIOを選出することによって、DXリーダーに必要なケイパビリティとインサイトを明らかにすることは、日本の発展にもつながると確信しています」


CIO Awardは表参道 LA COLLEZIONEにて開催された。洗練された空間に動画・スチル撮影のための機材が並ぶ。

「一騎当千」人材を輩出するために


CIO Awardが企業ではなく、「CIO個人」を顕彰していることにも意味がある。早稲田大学の根来は次のように所感を述べた。

「終身雇用制が崩壊したいま、個人の力が鮮明に見える時代へと変わりつつあります。ずっと同じ会社に所属するという人も、今後はもっと少なくなるでしょう。従来の日本社会は、企業人としての発言を求められるのが当たり前でしたが、個人として何を考え、どんな功績を残したかが注目され、ロールモデルとなっていくようになると思います。だからこそ、個人を顕彰するCIO Awardは、大きな意味をもっていると考えます」

企業人としての評価から、個人としての評価へ。根来は、このようにマインドセットを変えることが、社会全体にも好影響を与えると説明する。

「失われた30年といわれますが、1人当たりの国民所得が伸びないことが問題の根本にあります。解決するには生産性の向上が不可欠ですが、そのためにはIT投資が重要です。その責任者として、社会全体の生産性を向上させる使命があるということを、CIOのみなさんには感じてほしいと思っています」

DX JAPANの植野も、「一騎当千をなしうる存在がCIO。だからこそ、企業や行政で活躍するCIOにスポットライトを当てて、日本全体の飛躍を後押ししたい」と話す。確かに、ノミネートされたCIOはもちろん、情報システム部門でキャリアを重ねるビジネスパーソンにとっても、受賞者がどのような思いをもってどんな活躍を遂げているかに触れることが、大きな刺激となるのは間違いない。

ヒト・モノ・カネ・情報。この4大リソースは、どれが欠けても企業の成長を妨げ、社会に悪影響を及ぼす。裏を返せば、そのことを深く理解し、巧みにマネジメントすることで競争力向上やイノベーション 創出につながるともいえる。

CIO Awardで顕彰されたCIOたちの取り組みとこれまでの歩みに学ぶことは、そのための道筋を見いだすために大いに役立つのではないか。

レノボ・ジャパン
http://www.lenovo.com/jp/ja



デビット・ベネット◎カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタートさせ、半導体大手AMDでは10年間でグローバルおよび地域のセールスにおける要職を歴任し、特にメガ・リージョン担当バイスプレジデントとしてアジアパシフィック、日本の成長を牽引する。2018年5月より世界最大のパソコンメーカーレノボに転じ、日本市場担当バイスプレジデントとしてレノボ・ジャパン株式会社および日本電気との合弁会社であるNECパーソナルコンピュータの社長職を務める。グローバルブランドのレノボと国内ブランドのNECの2つのブランド戦略を実行し、NECにおいては山形県米沢市にある自社工場でのものづくりにこだわるなど、外資系のビジネスマネジメントと日本の製造業の融合をおこなう。趣味でもあるPCゲーム市場には特に思い入れが強く日本市場の活性化を自らの使命とする。また、カナダの大学で教鞭を執った経験からプログラミング教育などSTEM教育の普及にも注力している。2018年12月より山形大学の客員教授となり、グローバルビジネスマネジメントを山形の若きアントレプレナーに教える。
学生時代から日本の古典文学に親しみ、流暢な日本語を操る。好きな作品は『土佐日記』『古今和歌集』。国文法や2020年6月に古典の知識を生かした著書『外資系社長が出合った不思議すぎる日本語』を上梓。東洋経済オンラインに『気になる英語気になる日本語』を連載中。モットーは「Think Big」「Win together Lose together」。

ねごろ・たつゆき◎京都大学卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。経営情報学会会長、国際CIO学会副会長(同学会誌編集長)、CRM協議会顧問、英ハル大学客員研究員、米カリフォルニア大学バークレー校客員研究員などを歴任。『集中講義デジタル戦略』『プラットフォームの教科書』『事業創造のロジック』『ビジネス思考実験』(日経BP)、『代替品の戦略』(東洋経済新報社) などの著書がある。メーカーでの経営企画職など、約10年の実務経験をもつ。経営情報学会誌論文賞を3回受賞。

うえの・だいすけ◎DX JAPAN代表。早稲田大学政治経済学部卒業、MBA取得、商学研究科博士後期課程単位満了退学。三菱商事入社、ローソンへ約4年間出向、PontaカードなどのDXを推進。ボストンコンサルティンググ ループを経て、ファミリーマートへ。ファミペイの垂直立ち上げなどDXを統括・指揮。

Promoted by Lenovo JAPAN | text by Hidekazu Takahashi | photographs by Tadayuki Aritaka | illustration by Mai Sajiki | edit by Tomoki Matsuura

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