ビジネス

2022.02.19

ウォルマート、従業員のコロナ感染による昨年度のコストは10億ドル超

Joe Raedle/Getty Images

新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株の流行による感染者の急増が米小売最大手のウォルマートに及ぼした影響は、年末商戦の時期に店舗で棚卸しやレジ打ちを担当する従業員が不足したことだけではなかった。

ウォルマートが先ごろ明らかにしたところによると、オミクロン株に感染した多数の従業員が有給病気休暇を取得したことによって、同社は昨年第4四半期(11~1月)、予想していた約1億ドル(約115億円)を大幅に上回る4億ドル以上のコストを負担することになった。年間の総額では、10億ドルを超えたという。

一方、アマゾン・ドット・コムは、従業員の感染によって働き手が不足したことにより、給与の支払い額が急増したことを明らかにしている。シフトに入れなくなった従業員に代わって別の従業員が超過勤務をする場合、1時間あたりの残業代を通常の賃金の2~3倍に引き上げたことから、全体の支払い額が膨らんだ。

そうしたなかで、必要な労働力を確保することに苦労したのは、アマゾンだけではない。同社のブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)は2月初めに行った決算説明会で、「まさに大慌てで、従業員を増やさなくてはならなかった」と述べている。

導入はパンデミック時の対応


ウォルマートとアマゾンは、それぞれ約160万人、100万人以上を雇用する米国最大の雇用主だ。いずれもパンデミックの初期に、感染した従業員を対象とした有給の病気休暇制度を導入した。

両社はともに、陽性が確認された、または濃厚接触者として隔離が必要になった人に対し、最長2週間の有給休暇を認めている。さらに、ウォルマートの従業員は診断書を提示することで、最長26週間までの有給休暇が認められる(3週目以降は減額して支給)。

ただ、米疾病対策センター(CDC)が昨年末、無症状の感染者に対して推奨する自宅待機期間を10日間から5日間に短縮したことを受け、両社とも今年初めにこの制度の規模を縮小、有給休暇を認める期間を1週間に短縮している。

また、ウォルマートは自治体からの要請がない限り、3月以降はこの制度を全面的に廃止する方針だとしている。

編集=木内涼子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事