ネイリストが隣り合わせる危険 数十倍の化学物質に暴露の可能性も

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ネイルサロンでマニキュアやペディキュアをすることは、多くの人にとって小さな自分へのご褒美だ。

しかし、ネイルサロンで働く従業員が健康を損なう要因は、小さな部屋に閉じ込められ、長時間にわたる労働を行うことだけではない。最近の調査では、安価なサービスを提供するサロンで働くネイリストが、難燃剤や可塑剤として使われているさまざまな化学物質にさらされていることが判明した。

トロント大学の研究者グループは、ネイルサロンの労働者が暴露されているこうした化学物質は家庭で日常的に使用される製品による暴露の30倍、電気・電子機器廃棄物の施設で働く従業員の10倍であることを発見した。

同調査は2月14日、科学誌エンバイロメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジーに掲載された。難燃剤は通常はパーソナルケア商品に使用されていないものの、研究者らはカナダのネイルサロンで予想外に高い水準で難燃剤があることを発見した。

難燃剤はがんやホルモンの乱れ、神経障害を引き起こすことが示されており、長い間人体に蓄積され、糖尿病や性と生殖に関する問題、甲状腺機能障害など慢性的な健康障害を引き起こすことも知られている。研究者らは、ネイルサロンにこうした有害な化学物質が存在する原因は不明だと述べている。

研究者らは難燃剤の隠れた危険性に加え、さまざまなフタル酸エステル系可塑剤へのより高い水準の暴露も発見した。カナダ環境保護法(CEPA)では、フタル酸ジエチルヘキシル(DHEP)と呼ばれる可塑剤を化粧品に使用することが禁じられたため、研究チームがネイルサロンで発見したDHEPの水準は低かった。

研究の共著者であるトロント大学地球科学部のミリアム・ダイアモンド教授は報道発表で、「可塑剤DEHPへの暴露が低かったことは重要だ。この化合物に対する現在の規制が機能していることが示されている」と述べた。

フタル酸エステル系可塑剤への露出はその種類にかかわらず、低出生体重、子宮内膜症、テストステロンの減少、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、2型糖尿病、乳がん、子宮がんとの関係を指摘されてきた。
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翻訳・編集=出田静

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